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無意識に委ねるのが上手になるスクリプト

催眠スクリプト
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無意識に任せて生きるのが上手になりたい、と思った時に、私は運動場の真っ白いゴールテープを思い出したんです。

そして、その真っ白いゴールテープを私は誰よりも早くゴールして切ることが“できない”と分かっていたので、私は運動場に響く家族の声援や下級生の応援の声をなるべく聞こえないようにしていたんです。

だけど、ある時に、あのパンッ!というスタートの合図が聞こえた瞬間に、利き足を前に踏み出した時、運動場のトラックの外側の観客席に見える赤や青や緑の服の人たちの声が、私の背中を追い風のように押してくれていることに気づいたのかもしれません。

なぜなら、私は観客席のどこに父と母が座っているのか分からなかったのですが、友達のお母さんやお父さんの顔さえも区別ができない中、私はただトラックの白い線からはみ出さないように気をつけながら、カーブをする時に大きく回り過ぎないようにしていたんです。

すると、カーブに差し掛かった途端に、私よりも内側を走っていた人たちが、私と同じ位置かもしくは私よりも少し前に出たので、私は「負けるもんか!」と思って、さらにふくらはぎに力を入れると、土を蹴る足音も勢いよく大きくなるんです。

それから、大きくなった走る音を聞きながら、それが観客席からの声援と混じって私に力をくれているような、私が走る風で観客席を巻き込んでいるような、大きな渦がその隔たりを越えて一体感を作り出しているような感覚です。

そして、カーブを過ぎてまた一直線のラインになると、私は他の走者よりも指の関節1本分ほんの少し前に出ているようなのですが、まだまだ油断はなりませんでした。

なので、もっともっと振り切らないとと思ったので、腕の振り幅を大きくしてみると、私の体が風を切る音がさらに大きくなって、そろそろ観客席の声が聞こえなくなってきます。

そうすると、やがて目の前に真っ白いゴールテープが見えてきたので、なんだか少し全身の力が抜けるような感覚になったのですが、横や後ろから聞こえてくる足音に気づくとハッとして、また歩幅を大きくして、地面を思いっきり蹴ります。

そうやって、走る速度は一定でなく、少し緩んだりまた力んだりして、風に乗るように走っていると、同じ速度で走っている時よりも疲れにくくなっているような気がして、私は目の前の真っ白いゴールテープを切っても、まだまだどこまでも走っていけるような気がします。

そして、いよいよゴールテープを切る直前になって、これまで温存してきた力を余すとこなく振り絞るように、最後の加速をして、お腹のあたりでゴールテープを切ると、ワッとひときわ大きな歓声が運動場中に響き渡ります。

それから、呼吸を整えるようにゆっくりと歩きながら、次々とゴールしていく他の走者の様子を見て、ある程度呼吸が整ってきたところで、両膝に両手をついて、体の表面に流れる汗の感覚を感じます。

そして、額から、背中から、腰に流れる汗を感じていると、全員がゴールしたようで、次の競技が始まるアナウンスが会場に響いて、それまでゴール付近にいた人々がちらほらとまばらに散っていきました。

そして、元の呼吸の速さになったことを確認した私も、体を起こして次の準備をしようとあたりをぐるりと見渡したところで、向こうの方で再び何やら歓声がしてきたので振り向くと、次の競技である綱引きのために、チームが円陣を組んで大きな掛け声をしていたんです。

それから、円陣はまばらになって、入場する前の一列に並んでアナウンスされるのを待っているようで、私は綱引きには出ないから、しばらく休憩だと思ってクラスの客席に戻っていくと、そこにはほとんど誰も帰ってきていなくて、グラウンドの熱気とは違う涼しい風が私の肌のほてりを鎮めてくれます。

すると、いよいよ綱引き開始のアナウンスがされて、再び大きな歓声とともに綱引きをするメンバーが行進しながら運動場の真ん中を目指して歩いていく姿を眺めます。

やがて、太く長い1本の綱の両脇にメンバーが勢揃いすると、その中央に真っ白いポロシャツを着た先生がピストルを掲げて立っていて、おもむろに「パンッ!」という開始の合図が鳴り、間髪入れずに両側から大きな掛け声が上がります。

そして、私はどっちの味方でもないんだけれど、どっちも負けてほしくない気持ちで心の中で必死で声援を送りながら、拳をギュッと握り締めます。

なぜなら、そうすることで私の願いが叶うような気がしていたから、でも自分の願いなんか分からないんだけれど、何かを祈るような気持ちで、綱を互いに一生懸命引き合う彼らの姿を真剣に見つめるのです。

そうやって、永遠とも思える一瞬を彼らとともに心の中で過ごした時に、ふいに「パンッ!」とあの合図が鳴って、それで歓声も一気に静まって、こちらにまで唾をごくりと飲み込むような音が聞こえてきそうだったんです。

すると、綱の真ん中の白線を確認した先生が、片方の旗を上げて、旗を上げられたほうのメンバーたちは一斉にワッと喜びの声を上げて互いに抱き合ったりハイタッチをしているのを見ると、私はどちらを応援していたわけではないけれど、私の体の力までふにゃふにゃと抜けていくようです。

それから、2回戦目に突入するために、両者の立ち位置が交代になるので、チームはそれぞれ場所を交代するために立ち上がって歩き始めると、私は急に喉が渇いていたことに気づいて、グラウンドから一旦視線を外すと自分のバッグの中からペットボトルを見つけます。

そして、水滴がついたペットボトルを持った時に、ひんやりと冷たい心地良さを感じて、一気にゴッゴッゴッと喉を鳴らしながら水を体内に流し込みます。

やがて、再びあの合図が鳴って、両者から大きな掛け声や歓声が上がると、水を飲み干した私は口元を拭って涼しい風を感じながら、歓声とは真逆に私の心の中は凪いだ水面のようにわずかに波紋を作るだけなんです。

 

ひとつ、爽やかな空気が頭に流れていきます。
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます。
みっつ、大きく深呼吸をして頭がすっきりと目覚めます。

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