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ある晴れた夜に、京都の嵐山に行ったのです。

まわりはカップルばかりだけど、私は竹林が風に吹かれる音を聞きながら、額に冷たい夜の空気を感じます。

竹林は地面からライトアップされていて、金色の光に照らされた光を見ていると、昔母親に読んでもらった「かぐや姫」の話を思い出すのです。

かぐや姫は最後は月に行ってしまうけれど、大人になった私は月で人間が生きていける空気がないことを知っています。

夜空に大きな満月を見るたびにウサギを探していたあの頃の私とは違って、大人の私は月の表面に見えるウサギがクレーターであることを知っているのです。

そんなことを考えていると、周囲のカップルたちの楽し気な笑い声が聞こえてきて、「ああ、私は一人なんだ」と気づくのです。

私のまわりを歩いている恋人たちはみな手を繋いで仲良さそうに寄り添っている様子を見ていると、「私も彼らと同じことをしたいのかな?」という疑問が内側から湧いてきます。

アスファルトの道路を一歩、一歩踏みしめて歩くたびにジャリジャリとコンクリートの欠片が音を立ててるので、私は一歩踏み出すごとにどんどん自分の思考の内側に入っていきます。

足元を見つめながら、右、左、右、左、右…と交互に爪先を出して歩く自分の足元を眺めながら、「あれはいつだっけな…」とある日のことを思い出そうとするのです。

その日は、私にとって何気ない1日だったのだけれど、忘れられないのは、窓から入ってくるやわらかい陽射しと、遠くから聞こえる学校のチャイム、小学生たちの元気な声。

昼下がりにゆったりとソファに腰かけた私はぼんやりと、外から聞こえてくる音に耳を傾けながら「幸せだなあ」と感じていたのです。

「何が」あったわけでもなく、「何か」したわけでもなく、ただそこにあるのは太陽の明るい陽射しと静かな部屋の中に微かに届く遠くの声。

「私にも小学生の頃があったなあ」と懐かしむと同時に、ぼんやりとした思考が自分の頭の中に拡散していって、なんだか眠くなってくるのです。

私は、風邪を引いた時に母親にあやしてもらっている妹がうやらましくて仕方なかったことを思い出すけれど、私が見ていた世界は真実だったのだろうか?と、実家の薄暗い寝室に漏れるリビングの明かりを思い出します。

寝室の外から聞こえてくるのは、父親がテレビを見ている音で、私はそこに安心感を感じていたようそではないような。

自分の中にあの感情が湧いてきた時に、私はいつも母親の母の名前を呼んでいたのは、それは誰の感覚だったのだろうか?と思い出します。

「私を見てくれている人は誰もいない」と思っていたけれど、私はきちんと世の中を見ることができていたのだろうか?

私は、誰かの声に耳を傾けて、「話を聞いてあげよう」と思ったことがあるのだろうか?

私の中にはいつもあの感情が渦巻いていたけれど、私は私の自分の感覚に集中できていたのだろうか?

そんなことを考えながら、休日にゆったりとソファに腰かけてやわらかな光の中にいる午後の日のことを思い出していると、知らぬ間に夢の中に落ちていく感覚を感じられるのです。

部屋にはテレビがないので、無音の室内には、冷蔵庫の音やエアコンの作動音が聞こえてきます。

その音を聞きながら、私は孤独を感じていたのだろうか?と思い出してみるけれど、「そんなことはなかったよ」とどこからともなく楽し気な声が聞こえてきます。

「え?」と思ってその声の主に聞き返してみると、まるで天使が笑っているかのように、「私は、あなたが今まで一人で悩んできたこと知っているんだよ!」と言います。

その声は無音の部屋と対照的に明るく突き抜けていくようだったので、私は驚いたけれど、天使が言っていることを改めて自分の中で咀嚼して考えてみると、「悩みとは、どこから来てどこへ行くためのものだろう」と思いました。

天使は、白く輝く羽をゆっくりと前後に揺らしながら、黙って微笑みます。

私は、天使の次の言葉を待ったけれど、気づくと昼下がりのあの部屋の中に立っていて、「そろそろ夕ご飯を作らないと」と思い出します。

冷蔵庫の中にある材料を思い浮かべながら、なるべく簡単で時間が掛からないものを脳内で検索してみた時に、小学校の下校のチャイムが窓の外から聞こえてきました。

「生きてる」と思うのは、こんな些細なことを「しよう」と思って立ち上がった時で、いつも私は「今」を生きていることに喜びを感じています。

あの竹林で見たライトアップされた竹やぶの道でたくさんの手を繋いだ恋人たちを見てきたけれど、一人で竹林の中に立って歩いている自分はより周囲のことがよく見えます。

私は、誰かの話に興味があるわけではないけれど、誰かの話を聞いて自分のことを知ろうと思えば知れるし、誰かのことも知ることができるのです。

あなたの話を聞きながら笑ってうなずく私を、私は好きになれそうだなあと思います。

私はまだ見ぬあなたの姿を想像しながら、いつかあなたに会えて、優しい笑みを浮かべながら昼下がりにお茶をするあなたとの時間を大切に思うのです。

 

ひとつ、爽やかな空気が頭に流れていきます。
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます。
みっつ、大きく深呼吸をして、頭がすっきりと目覚めます。

 

 

本日のメタファー:竹林、嵐山、ライトアップ

 

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