1日30分のアート活動だけでストレスが軽減されるらしいので、休日や仕事以外の時間はなるべく芸術に触れる時間を作っています。
たとえば、毎月1回は好きなアーティストさんの個展に行くとか、毎日AIで好きなイラストや動画、音楽を作るなどです。
それ以外にもアートや芸術に触れることは、たくさんのメリットがあります。
今回行ってきた空想旅行案内人ジャン=ミッシェル・フォロン展は、開催されるかなり前から「行きたい!」と思って目をつけていたのですが、いざ始まると行くかどうか悩んでました。
ですが、行って良かったです!!!!!
展示されている作品のほとんどが写真撮影可能だったので、特にお気に入りだった作品を紹介させていただきます。
どれも私の好みドンピシャだったので、撮影できるものはほぼすべて撮影してきました!
まだフォロンを知らない方は、ぜひ一緒にフォロン沼にハマりましょう!!
ジャン=ミッシェル・フォロンってどんな人物?
1934年にベルギーで生まれたアーティストです。
主に水彩を使って描かれたやわらかくて夢想的な絵は、日本人にはどこか懐かしく馴染み深い感覚を覚えるのではないでしょうか。
彼の作品には繰り返し同じモチーフが使われていることが多く、「リトル・ハット・マン」はどこかで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
フォロンはまた、フランツ・カフカの『変身』、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』などの挿絵も制作しています。
さらに、スティーブ・ジョブズがその画風に惚れ、Macintosh開発時にフォロンに依頼したそうです。
そして、フォロンは『世界人権宣言』の表紙や挿絵も制作しています。
日本での個展も何度か開催しており、初来日の時は大阪万博に出品していたそうです。
私とフォロンとの出会い
今回私が行ってきたのは、2025年4月5日から6月22日まであべのハルカス美術館で開催されていた個展です。
ドローイングや水彩、ポスター、彫刻などさまざまな形で297作品が展示されていました。
美術展の情報はInstagramで流れてくる広告や、その他SNSで仕入れています。
SNSでこの個展を知るまで、正直フォロンのことは知りませんでした…。
でも、SNSでフォロンの絵のポスターを見て、一目ぼれしたんです!!
なにこれ、かわいい!!!めっちゃ好み!!!!!
おだやかで優しい色合いも素敵だし、ユニークなキャラクターも可愛い!
そして、私もフォロンのような絵を描いてみたい!と強く心を動かされたのが、個展に行くきっかけでした。
印象に残った作品
入ってすぐに並んでいた【〇〇番目の考え】シリーズ。
かわいい。
こういう発想、好きです!
小さい頃から絵を描くのが好きだったフォロンの初期の作品。
この作品は無題なので詳細が分からないのですが、なんか「あいつだけ違う!」と言われてそうなのが気になります。
大きいリトル・ハット・マンを運ぶ小さいリトル・ハット・マン。
ネジの【森】。
リトル・ハット・マンの背中についているネジですかね。
フォロンが本格的に画家を目指し始めた頃に頻繁に出てくる「矢印」のモチーフ。
「矢は身を守るために人類が最初に発明したものだ。いまや私たちはその矢から身を守らねばならない。」
とはフォロンの言葉。
至る所に矢印が溢れていることで、我々はどこへ進めば良いのかを逆に見失ってしまうのかもしれない。
そして、フォロンの作風にはこの矢印のように、小さく細々した同じモチーフが繰り返されることも多いです。
【あらゆる方へ】。ブロンズ作品です。
平面の絵画も素敵ですが、立体作品も見事です。
ブロンズの重厚さが、この人物の進む選択肢の重さを表しているような感じがしました。
もしかしたら、私自身の目の前にもこうやって選択肢が枝分れしているのかもしれないと思うと、心惹かれるものがありました。
単純に造形も好みです。
【綱渡り師】。
パープルのグラデーションの空がきれいで目を引かれました。
しかし、よく見ると長くて細い綱とその上を慎重に渡っているであろう人物の背景が紫色なのは、ちょっと不安な気持ちを表しているようにも見えます。
綱の真ん中にはちっちゃいハートがぶら下がっていて、ちょっとした揺れで落ちるかもしれない緊張感が描写されているのだろうか。
シンプルにかわいい。
これは帽子を被っていない人ですが、この他にも星座や宇宙とリトル・ハット・マンの作品はシリーズのようでいくつかありました。
星座を片手で持ってバランスを取っている、こんな豊かな発想力が欲しいです。
ポスター作品の1つ。
長~い人がチンアナゴのように伸びているのがかわいいです。
私もこんなふうに宇宙に身を任せて漂っていたいです。
これはフォロンが書いた手紙の1つ。
「太陽」って印鑑がまるで日の出のように連打されてますね。
足を止めてじっくり見られている方やリアクションしている方が一番多かった作品です。
【大天使】。
フォロンは鳥になって空を飛びたかったそうです。
そんなフォロンの憧れを表現している作品なのかもしれません。
私は本業が占い師なので「大天使」というタイトルにまっさきに興味を惹かれましたが、この淡い水彩の色合いと虹色のような文字色や羽も幻想的でとても好きです。
オラクルカードの絵柄なんかにありそうですよね。
夕暮れのようなオレンジの空も、どこかなつかしい感情を思い出させてくれるようです。
描かれているこの人物(フォロン自身?)は、きっと今からもっと空高く飛んでいくのでしょう。
共鳴と気づき
もう全作品を紹介したいぐらい、どの作品も心を掴まれるものばかりでした!
私だったら、こんなふうには描けないと思ってしまう憧れと羨望の連続です。
墨で描かれたものはキャラクターがちょこまかとしていてかわいらしいし、水彩画はふんわりと優しく私の心をあたためてくれるようです。
しかし、戦争に関する作品もいくつかあり、フォロン独特の表現で戦争の悲惨さと愚かさが描かれていました。
世界人権宣言の挿絵も含め、フォロンは誰よりも人間を愛する人だったのかもしれません。
今回の個展は本当に行って良かった!と感動の連続だったのですが、フォロンの人生に対する考え方もとても勉強になりました。
「矢印」のモチーフでは、情報過多な世の中で何を信じて歩めば良いのかということを学びました。
ただの群衆の一人として流されるだけなのか、自分の信念に従って矢印を選ぶのか。
そして、フォロンは自ら「寛大な心」が自分の長所だと言っています。
私にはないものです。
鳥に憧れて“私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです”というフォロンの言葉は、ひねくれた私にはない考えで、その純粋さが眩しかった。
私には寛大になる時間の余裕もないし、「鳥になりたい」なんて子どもみたいな夢を見れないと思っていました。
【空想旅行案内人】だと名乗るフォロンは、私が忘れかけた夢を大人になってからもたくさんたくさん持っていたのだと思います。
だから、いつまでも心豊かで、私の頭ではいくら捻りだしても出ないようなアイデアでいっぱいだったのだでしょう。
多くのフォロンの作品に触れて、その色彩感覚とキャラクターに癒されましたが、それよりももっと深く、人間として大切にしなきゃいけない心を思い出せてもらったような気がします。
世界は毎朝生まれ変わり、旅は続いていく。
これはフォロンの言葉ではなく、キャプションに書かれていたメッセージです。
私は学生時代から、気づいたら朝が来るのが怖くてなかなか眠れませんでした。
少しでも長く起きていれば「今日」がまだ終わらないんじゃないかと思って…。
だけど、フォロンはきっとそうじゃなかった。
人を愛し、自分を愛し、みんなが幸せになれる方法を知っていたのではないでしょうか。
私は彼のように優しくはなれないかもしれないけれど、フォロンのこの優しい色彩の絵を思い出すたびに、会って話したこともない彼の穏やかなあたたかさを思い出すのかもしれない。
朝は絶望的なものではないし、昨日の続きでもない。
地平線と水平線から太陽が昇ってくるたびに、世界は新しく生まれ変わっているんだと私に教えてくれたのです。
おまけ:ハルカス300登ってきました
あべのハルカス展望台――2014年にオープンしましたが、一度も登ったことがありませんでした。
この機会に、登ってきました!
地上約300m。
東京タワーが333mなので、それに近い景色が見れるんですかね。
ジャン=ミッシェル・フォロン展で邪心が洗い流された私は、はじめて行ってきました。
ハルカス300、行って良かったです!!!!!!
梅田のスカイビルには何度も登って夜景を見ているのですが、全然違いました。
左の方に通天閣が見えます。
こんなに小さいんですね…!驚きです。
宇宙の広大さや自然の壮大さへの畏怖の念で、「自分の悩みはなんてちっぽけだったんだ!」と感じるといったことがよく言われていますが、この夜景にも同じ効果があると思います。
ただただ圧倒されました。
タワーマンションの最上階はここよりもだいぶ低いと思いますが、高いところに住んでいて毎日街の夜景が見れると、「自分はそんなちっさなことで悩むことはない」と毎晩思えるのでしょうか。
写真好きあるあるだと思いますが、「この景色、素敵!」と思って何枚も何枚も撮っても、後で見返すとぜんぶほとんど同じ写真なの(笑)
いや~、ほんとこの日は心の底からフォロン展もハルカス300も行って良かった!と、何度も感動を噛み締めました。
今度は昼間に登りたいです。
やっぱりたまにはこうやって仕事を離れてのんびりしないと、見失っていっているものがたくさんあるのかもしれませんね。
そして、フォロン展もハルカス展望台から見た景色も、催眠スクリプトを書く上での私の想像力を刺激してくれただろうことに期待しています。
これは中国の観光客の若い女の子が撮っているのを真似して撮ってもらった1枚です。
今のインフルエンサーたちは素敵な構図をいっぱい知っていてすごいですね!
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