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『時間を生み出して、やりたいことをやるスクリプト』

催眠スクリプト
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ドーム型の廃墟に、一人の大人が入っていく。

身長がスラッと高く、後ろから見ると男性か女性か分からないけれど、耳を澄ましてあたりの空気を感じ取ろうと目を閉じると、このドーム型の廃墟の向こうから、海の波が嵐で波打っている音が聞こえてくる。

空はとても青く晴れていて、風は冷たく心地良いけれど、もうすぐ台風が近づいてくるのか、波は大荒れで、このドーム型の廃墟が建っている崖の下で、大きくうねり声をあげているのだが、その振動が肌にまで伝わってくるようです。

私の目の前にいる、男性か女性か分からない一人の大人の背中を追って、私も廃墟に入ってみることにしました。

廃墟の中は円形で、真ん中に螺旋階段があり屋上まで続いているようで、その目の前の大人が一段一段のぼるたびに、カツン…カツン…と金属が鳴る音が耳に届いてきます。

そうやって規則正しく聞こえてくる大人の足音を聞きながら、「あ、もうこのドームの階段の真ん中ぐらいまで上ったのかも」と何となく把握して、そして急いで自分も階段を上り始めるのですが、ドームにはいくつものたくさんの窓ガラスのない窓があり、そこから隙間風が入ってきて、私は飛ばされそうになりながら手すりを必死につかみ、大人の後を追いかけるのです。

窓ガラスのない窓の向こうには、海が青々と揺れている光景が見えていて、私の髪が強風で煽られて視界を遮るけれど、もっとゆっくりとできる時間があるのならば、いつまでもその海の青を眺めていたいなあと思うのです。

そうやって一瞬うっとりと海に見惚れている間に、私の前に階段を上り始めた大人は、どんどんどんどん上を目指して、ある一定のリズムで階段を上っていくのです。

私は海に少し見惚れていたけれど、大人が階段を上る足音でハッと我に返り、再び急いで大人の背中を追いかけるけれど、大人はどんどんどんどん私を置いていくような感じがして、私がどれだけ早足になろうが一段飛ばしであろうが、ぐんぐん距離を離されていく感覚になってしまうのです。

私も大人のように、息を切らすことなく軽々とこの螺旋階段を上っていけたらなあ…と、大人が着ている白いシャツの後ろ姿を食い入るように眺めながら、後を追いかけてなるべく早く階段を上っていきます。

自分の呼吸がだんだん荒くなっていって、はあ…はあ…と息が乱れていくことを感じながら、自分の足音が大人の足音の規則正しさをかき消して、ドーム型の廃墟にいくつもの足音が響くのを聞いていると、さきほどまでの静寂はどこへやら、なんだかにぎやかな廃墟にいるような騒々しさを感じていくのです。

窓からは一際強い風が吹いてきて、私を階段から蹴落とそうとしてるのかもしれないと思うと、意地でも手すりにしがみついて、歯をくいしばって、早く大人の背中に追いつきたいと思うのです。

大人の背中はどんどん小さくなっていくように見えるけれど、それに反して私の呼吸はどんどん大きくなっていき、やがて私は大人の背中ではなく、目の前の、次に足を乗せる階段を目で追うのがやっとになっていくのです。

いつの間にか、足音や崖下から聞こえる海の波の時化た音は、私の頭の中でぐわんぐわんと回って響き、私の中で、過去に人から聞いた言葉や私が喋った言葉などがこだまして聞こえるようになってきました。

だんだんと意識が遠のいていく感覚があり、私の視界はぼやけていくけれど、人の声や過去の映像が嵐のように私の中を駆け巡る感覚を全身で感じるのです。

その自分の中の騒音に耳を傾けていると、ある時にふっと「我に返りたい」みたいな気持ちが湧いてきて、私は自分の呼吸を思い出したり、先ほど見た海の景色を思い出してみると、そうするとまた元のドーム型廃墟の中にいる自分に戻ってこれたようで、そこには螺旋状に続く階段と、窓ガラスのない窓の向こうに見える海とが視界に飛び込んできたのです。

乱れた呼吸を整えようと、数回息を吸って…吐いて…と深呼吸を繰り返していると、「そういえば大人の足音が聞こえないな」ということに気がついて、ドーム型の廃墟の中の音に耳を集中させるけれど、外の崖下から聞こえてくる波音しか、私の耳に入ってこないのです。

「あれ?大人はもう、屋上に着いたのだろうか…」と思って早く体を動かそうと思うけれど、今度は私の足や体は、ピタッと動かなくなっていることに気づいて、無理に片足を上げようとするのですが、まるで自分が銅像にでもなってしまったかのように全く固くなってピクリとも動けなくなってしまったのです。

ドーム型の廃墟の天井をあおいで見ると、天井があるべきところにはぽっかりと穴が開いていて、太陽の光がさんさんとこの廃墟に降り注いでいます。

眩しくて目を細めると、その穴が開いた空の向こうでカモメが鳴いている声が聞こえてきたので、私はそのカモメの姿が見たいと思い、もう一度がんばって目を開こうとしてみたのです。

目を開いて天井があったところの穴を眺めてみたけれど、そこには青い空と雲と太陽の光が広がるばかりで、声は聞こえどどこにもカモメの姿は見当たらず、私はなんだかどこか夢の中でひとりぼっちで取り残されているような感覚になっていくのです。

そう、真昼間に白昼夢を見てるようで、明るい陽射しの下でふわふわと心が浮くような感覚が胸に広がり、「ああ、カモメのように空を泳げたら、私はこんな窮屈な廃墟のドームを大人の背中を追って上ったりしないのになあ」なんて考えて、再び廃墟の天井を見上げて眩しさに目を細めるのです。

姿はやはり見えないけど、カモメの声がいくつか空から聞こえてきて、そしてもう私の耳には、大人が階段を上っている音は聞こえないのです。

天井の穴から降り注ぐ太陽の光を全身に浴びて日光浴しているような心地良さを味わいながら、私は階段を上ることをやめて、今ここまで上ってきたこの段数にとどまったまま、窓の外の晴れた空と波を眺めていると、だんだんと眠くなってくるような瞼が重くなってくるような感覚に包まれていくのです。

ひとーつ!さわやかな風が頭に流れてきます。
ふたーつ!だんだん体が軽くなっていきます。
みっつ!大きく深呼吸をして、頭がスッキリと目覚めます。

『時間を生み出して、やりたいことをやるスクリプト』でした。

タイトル:「廃墟ビルのコンクリートの階段」
解釈:一歩一歩自分が今まで積み重ねてきた、古い忘れられた道を踏みしめて、味わって、螺旋階段を上へ上へとのぼる。直線ではなくても良い。
上から差し込む光を見上げて。(ドーム型の廃墟)

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