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【過去作】仕事が楽しくなるスクリプト

催眠スクリプト
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2019年8月25日に書いた催眠スクリプトです。

真っ白いつるつるした床が見えます。
どうやらそこを、私は歩いているようです。
ゆっくりと、右足と左足を交互に踏み出して、コツン、コツンと硬い床を踏む音が鳴ります。
どこへ向かっているのかはわかりません。
私は、まっすぐ顔を向けて行先を見るよりも、自分の足元を見ることに集中したいのです。
静かな空間なので、自分の足音以外にはかすかに自分自身の呼吸が聞こえるだけです。
頭を下げて歩いているので、私の茶色い髪の毛先が垂れて頬を撫でるのがチラチラと見えます。
服装は、巫女のような恰好をしているようです。
上品な紫色の袴が、歩く度にふわっと膨らんで元に収まります。
右手には銀色の銅のようなものでできた杖を持っていて、一歩踏み出すごとにシャランと音を立てます。
その音を聞く度に、私の心は落ち着いていきます。
コツン、シャラン、コツン…先は見えないけれど、どこまで続いていても飽きないだろう繰り返しだ。
これがずっと続けばいいのに、という平穏ささえ感じます。

なぜ私が足元をずっと眺めているのかというと、私が一歩を踏み出すごとに、花が咲くからなのです。
形は小ぶりのパンジーのようなピンク色の花が、つま先からあふれるように咲き乱れます。
また一歩踏み出すと、恐るべきスピードで緑色の芽が出て蕾が生り、ピンク色の花びらをぶわっと広げるのです。
なんて美しいのだろう、と夢中になります。
私の足元から生命があふれ出している。
そう思うだけで、なぜか自信がどんどん漲ってきます。
この花は枯れません。
なので、私が今まで歩いてきた道にはずっと、一筋の花のレールが出来ているのでしょう。
まだそこを辿ってくる人は一人もいなくて、私は淡々と歩いていくのです。
どこに行きつきたいのかわからないけれども、不思議と不安はありません。
心細くないのは、私の一歩から無数の美しい花が生まれるからです。
今、はじめて顔を上げて目の前を見ましたが、どこまでも真っ白い空間が広がっているだけでした。
夜明けのようにうっすら明るい光がどこからともなく差し込んできています。
太陽は見当たらないな。でも、なぜだか今は朝だとわかるのです。
果てしなく続くこの空間は、私に安らぎを与えます。
何も考えずに真っ直ぐ歩いていくだけでいいのだ。
自分の足音が自分から聞こえて現在地を見失わない限り、歩いていけます。
そう、自分を見失わない限り、方角がわからなくても迷ったりしません。
そうして、もう足元の花を見続けなくても、私が見張っていなくても、それは私が歩いている限り永遠に咲いていくものだと信頼できます。
だから私は顔を上げて前を見ることが出来るのです。

シャラン、と杖が鳴ります。
私はここにいる。
見つけてもらうために鳴らしたのではありません。
自分の心臓の呼吸に合わせて、リズムを取るように自然と鳴るのです。

―――
以外、AIに描いてもらった催眠スクリプトのイラストです。
3枚目が1番イメージに近いのですが、1枚目が美しくて特にお気に入りなのでYouTubeのサムネにしました。

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