「与える」と聞くと、自分を削って他人に尽くして成功するような気がしていました。
だから、人に与えたいんだけど、自分が搾取されるだけで終わりになってしまうのが怖かったんです。
世の中には、ギバー・テイカー・マッチャ―という3種類の人間がいます。
テイカー:与えるより多くをもらおうとする人
マッチャ―:互いの価値が等しくなるようにバランスを取る人
この中で一番成功する人、稼げる人はどのタイプだと思いますか?
実は一番うまくいかない人はギバーで、断トツに成功する人もギバーなんです。
ギバーは「自己犠牲タイプのギバー」と「他者志向タイプのギバー」の2つに分かれます。
かつテイカーに食い物にされてしまって、本来なら誰よりも早く昇進できるはずなのに蹴落とされてしまいます。
なのでテイカーに搾取されて終わりなのではなく、自分が与えた人がギバーになりまた他の人へ与えていくというギバーの循環が出来上がる。
めちゃくちゃおすすめです!
本を手に取った理由
私はぶっちゃけ成功したいです。
これは私以外にも多く人が望んでいることではないでしょうか。
私が成功したい理由は、お金に困らない生活をしたいからです。
だけど、昔のように休みなく働いて潰れたくない。
かと言って、限られた時間の中で何をすれば効率良く成功の道を歩めるのだろうか。
そもそも成功するには、何らかしらの正解のルートがあるのか?
出来るだけ回り道をしたくない私は、ぐるぐるぐるぐる考えて立ち止まってしまっていました。
本書のタイトルである「与える人」が成功するというイメージは、なんとなく分かります。
だけど、今まで人を信頼して与えてきたのに、自分のアイデアをパクられて嫌な思いをしたり、手柄を横取りされたり、与えても与えてももっと与えないといけない状態に陥るだけだったり…。
正直、もう与えるのは疲れていました。
だから、大嶋信頼先生の本を読んで「自分中心で生きればいいのか!」と思って、ようやく自己犠牲で疲れ果てることがなくなったのですが、何かが足りない気がしていた。
人に優しくできなくなっている気がしたんです。
自分のことを優先したがゆえに、人に冷たい態度になってしまっているのではないか?
ドライな人間関係と言っても、このままではみんな離れていってしまうのでは?
でも、もう昔には戻りたくない。
そんな時にこの本を手に取って、そして本当の意味での「与える」ということを知りました。
そうなんです、自己犠牲をして与えたとしても、何も残らないんですよ。
自分のニーズである「自己利益」と「他者利益」を同時に目指すことが重要なんです。
燃え尽きてしまって他人に与えるのが苦痛だと思ってしまうのは、自己利益の追求を疎かにしてしまってるが故に起きてしまいます。
本の概要・要点
2014年に三笠書房から出版された本です。
楠木健さんが監訳をされています。
多くの調査や研究結果を元に、どんな人が仕事でより成果を出しているのか?をギバー・テイカー・マッチャ―という3タイプの人間の性質から述べられています。
本書の結論:他者志向のギバーが最も成功する
タイトル通り「与えれば与えるほど成功する」という話がメインテーマです。
だけど、テイカーとマッチャ―が悪いわけではありません。
たとえば大嶋信頼先生の「支配者・虚無・光の人」のように、それぞれが目指す人生の目的と手段が違うだけなんです。
けれど、やっぱり抜きんでて成功するのはギバーである。
しかし、ギバーであっても、自分をすり減らして他者に分け与えているギバーは、成功からほど遠くなってしまいます。
大切なのは、
成功しているギバーは普通の人たちよりも他者重視であるだけでなく、利己的でもあるということだ。(p252)
私は、ギバーになるなら自分のことは二の次にするべきなんじゃないの?と思っていました。
だけど、ギバーでも自分の利益を追い求めていいんです!利己的であっていいんです!
むしろ、利己的でありながら、他者へも関心を持つことが成功への道標なんです。
ちなみにテイカーは、営業職などでは最初はある程度利益を出せるのですが、続きません。
なぜなら、性格が歪んでいることが他人に見破られているから(笑)
テイカーが媚びを売っている人物はなかなかそれを見抜けませんが、テイカーは自分より立場が下の者にはぞんざいな態度を取りがちです。
なので、テイカーを見分けようと思えば、その人物より立場が下の人たちの評判を聞いてみると分かります。
マッチャ―は、与えた分と与えてもらった分を同じバランスにしようとするので、群を抜いて成功するということはない。
SNSがコミュニケーションの主流である現代では、人の噂というのはあっという間に広がっていきます。
だから、テイカーの評判はすぐに地に落ちていきます。
しかし逆に、昔は見えづらかったギバーの良さがまたたく間にSNSに広がっていくんです。
もうギバーが損をする時代ではありません!
そして、私はもう1つギバーについて誤解していることがありました。
それは「ギバーはどんな人にもいつでも優しい」ということ。
愛想が悪いギバーもいるんです。
誰彼にでも愛想を振りまくのがギバーではないんです。
むしろ、テイカーの方が愛想が良かったりします。
笑顔で高価な商品を売りつけてくる図々しいタイプの営業マンを思い描いてもらえれば、なんとなく想像できるでしょう。
ギバーは、できるだけ困っている人を助けてあげたいと思います。
しかし、自分のことをないがしろにしていては、自身の生産性や意欲までも下げてしまって本末転倒となってしまいます。
「他者志向」になるということは、受け取るより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである。(p255)
ちょこちょこ与えるのではなく、まとまった時間で与えること。
それがだいたい週に2時間ぐらいだと良いそうです。
ボランティア活動の「百時間ルール」で、年間100~800時間ボランティア活動をしている人は、それ未満またはそれ以上の時間をボランティア活動している人よりも人生の幸福度と満足度が高いそうです。
また、テイカーは人よりも得することに喜びますが、ギバーが最も喜ぶのは人の利益になる仕事をすることです。
だから、自分が起こした行動でどんな変化が相手に起きているのかフィードバックをもらえないと、だんだんと燃え尽きていってしまいます。
自分がギバーだと言うわけではありませんが、これはよく分かります。
占いの館で勤めていた時に、口コミだったり、前回の鑑定のフィードバックをくださったりすると「ちゃんと意味のあることをやれてるかも!」と思って意欲に繋がります。
けれど、何も反応がないと「占いなんか何の役にも立たない」とか「私は間違ったことをしているのかも…」と不安になってきて、先へ進む道に迷いが出てしまいます。
ギバーは与えすぎて時間とエネルギーを浪費することで燃え尽きるのではありません。
困っている人を助けてあげられないと感じた時に、燃え尽きてしまうのです。
すみません、正直過去に何回か燃え尽きていました。
今はちゃんと見失わずに進めているのではないかと感じています。
学び①:テイカーの見分け方
本書を読んでいて気になるのが、「自分はテイカーなのか?」と「ギバーが成功するのは分かるけれど、テイカーをあらかじめ回避できるのか?」ということですが、テイカーの見分け方もしっかりと書いてくださっています。
私は個人事業主なので、自分でサービスの価格を決めることができます。
しかし、いつも適正価格の正解が分かりません。
自己犠牲するほど安い価格設定にしてしまうと自分が苦しいし、またあまりに安すぎると自信がなさそうに見えることもあると思います。
けれど、講座の値段が高いとのご意見をいただいたりすると「高過ぎたかな…」と不安になっていました。
そんな時に「自分はテイカーだから、人からより多くを得ようとしてしまうのかな?」と思ってしまうのですが、でもね、テイカーが奪う量って感覚的に「ちょっと多い?」ぐらいじゃないんですよ。
普通の感覚だったら「おいおいおい!取り過ぎじゃねえか!」って思うぐらいごっそり持っていこうとするのがテイカーです。
テイカーのCEOの特徴として、ストックオプションと他の現金以外の報酬を、次に高い報酬を受け取っている人の7倍も要求します。
業界の平均は2.5倍だそうです。
コンピューター業界のCEOテイカーは、社内の他の上級経営幹部の年某とボーナスの3倍以上をもらっていたのですが、業界全体のCEOは平均して2番目に高い報酬を受け取っている人の1.5倍ちょっとの収入です。
なぜ、テイカーは非常識なぐらいぶん取ろうとしてくるのか?
それは「自分は優れた人間」だと思っているからです。
だから、得る給料が他人と大きく違っても当然のことだと思っているので、むしろその権利を主張してくるのです。
さらに、もっと分かりやすいテイカーの特徴があります。
それは会社の年次報告書に使われている写真です。
テイカーは、自分の顔写真をでかでかと載せます。
「自分はこの会社の中心人物である」と思っているからです。
他人から注目されたい自己顕示欲が強く、尊敬を強要するのがテイカーです。
これは「レック」と同じだと、アダム・グラントは言います。
レックとは、クジャクの雄が雌にアピールする繁殖行動です。
また、フェイスブックでテイカーを見分ける方法もあります。
実際よりもよく見える自分の写真を使っているようなナルシストっぽい人は、テイカーだそうです。
きわどい写真を多用していたり、発言が自己中心的で傲慢、もったいぶっているような投稿もテイカーの可能性があります。
そして、「友だち」がやたら多い。
(けれどギバーも友だちが多いです)
テイカーが好むのは、「富・権力・快楽・勝利」です。
それに対して、ギバーは「援助・責任・社会主義・同情」の価値を優先します。
けれど誤解してはいけないのは、プライベートではギバーであっても、仕事では与えることの価値観が異なるためマッチャ―やテイカーになる人もいるということです。
つまり、1つのタイプですべての人間関係に対処している人は実は少ないんです。
学び②:「食うか食われるか」思考はテイカー
私はたった5年間ほどでしたが、競争社会の中で働いていました。
最初はみんながハッピーになればいい!と思っていたのですが、成功している私のやり方を丸パクリしてさも自分が編みだしました!という体で披露する人がいたり、アイデアをパクる人、私のありもしないあれこれを言って蹴落とそうとしてくる人。
自分の常識では信じられないことばかりで、いつしか周囲は敵しかいないと思い込んでいました。
だから、他人に自分のアイデアを喋ったらパクられる!と思っていたし、人は油断したらこっちの何かを搾取しようとしてくると思っていつも警戒していました。
実はこれ、テイカーの思考なんです…。
さらに、テイカーはどんなことでも自分で決めようとします。
人が何を言おうが耳を貸しません。
テイカーが、自分こそが一番かしこい人間になろうとやっきになるのに対し、ギバーは、たとえ自分の信念が脅かされようと、他人の専門知識を柔軟に受け入れる。(p200)
とても耳が痛い。
私はなんでも最初の頃は素直に「はい!」と従えるんだけど、慣れてきたり知識がついてくると「自分の方が正しい!」と思ってしまったりします。
知らずの内に「私が一番かしこい!」と思ってしまっているのかもしれません。
しかし、自分は賢いと思うことが悪いのではありません。
私の人生目標の話になりますが、私は人から搾取するテイカーではなく、他人のことを幸せにしたいギバーになることが目標なので、他人の忠告に素直に耳を傾ける心を忘れないようにしようと目を覚ましてもらいました。
もしかしたら、「人の意見よりも自分の意見!」と意地になっている時ほど、「自分はテイカーになっていないか?」と立ち止まる必要があるのかもしれません。
同様に、自分で決めた物事がうまく進んでいない時、テイカーはうまくいっていない事実を受け入れることがなかなかできないそうです。
なぜなら、テイカーは自分とは違う意見を持っている周囲の人の評価を軽んじているからです。
なので、テイカーは柔軟に道を変えることができず、失敗している物事をなんとかうまくいかせようとして固執してしまう。
すると、どんどんどんどん状況が悪化していく。
反対にギバーは、自分に否定的な意見も謙虚に受け止められるので、誤った判断を最小の被害で食い止めることができます。
テイカーは自分のプライドやメンツが大事なんだけれど、ギバーはそれらが傷ついても長期的にみんなのためになる方法を選び直すことができるのです。
物事が順調でない時、「もうちょっと粘ったらうまくいくはず!」は果たして本当にそうなのかどうか。
その都度自問していく強さが、自分も周りの人も守ることができるギバーとなれる第一歩となる。
これをいつまでも忘れずにいたいです。
この本を読む前の私の中のギバーは、なんとなく「人に尽くし過ぎる」っていうイメージがふんわりありました。
だから、たとえば人に投資する―――選手をメンバーに迎える、教え子に時間を掛けて面倒をみるなど―――となった時に、その人が実は「これ向いてないんじゃない?」と思った時に、ギバーはいろんな人の気持ちを汲み取り過ぎてなかなか手放せないんじゃないか?と思っていました。
だけど、実際はテイカーの方が自分の認識不足を認められないので、自分が才能があると抜擢した人物を諦め切れず、見込んだ相手の才能がいつか開花するようにと意地になってさらに何年も投資を続けてしまう。
しかしギバーは、実は人に投資し過ぎるという失敗を一番犯しにくいそうです。
なぜなら、ギバーの成功とは「自分の幸せはみんなの幸せ」だから。
だから、周囲の損失が大きいと判断すると自分の誤った判断をあっさり覆して、みんなの損失が最小になる選択肢を取ることができるのです。
学び③:人は本能的に「与えたい」生き物である
僕でも多少は経験があるのだから、「ギブすること」は誰のなかにもある本能、本性であることは間違いない。(p013)
これは本書のはじめにある監訳者・楠木建さんの言葉です。
この一文を読んだ時に正直「うそだー!」と思いました。
【GIVE&TAKE】を読む前は、ギブしたとしても返ってくるものはほんの僅かだと思っていました。
だいたいは搾取されて当然だろうと。
なので、なるべく人から搾取されないためにはどうすればいいのか?ということが一番重要であると考えていました。
もう搾取されて疲弊するのは懲り懲りだ!と思って、警戒心がバリバリでした。
この本ではPART5までが、ギバーの功績がどれだけ素晴らしいものか、ギバーはどんな成功を収めていたのかということがいろんな事例から紹介されています。
しかし、私は読みながらずっと「そんなこと分かってるから、早くギバーが搾取されない方法について教えて!」とやきもきしていました。
なぜなら、ギバーは少数派であると思っていたからです。
けれど、人間って、プライベートではほんどの人が「ギバー」なんです。
PART1で、ある調査結果が紹介されています。
心理学者シャローム・シュワルツの研究です。
世界中の文化の異なる人々がそれぞれに「大切だ」と考える価値と人生指針について、オーストラリア、チリ、フィンランド、フランス、ドイツなど十二ヵ国に住む成人1,000人を対象にした調査を過去30年にわたり行いました。
すると、なんと十二ヵ国すべての国のほとんどの人が、「与えること」こそが最も大切な価値だと答えたそうなんです!
ええ!私はてっきり「与えること」を大切な人生指針にしている人は少数派で、ほとんどの人が富や権力や快楽、勝利を選ぶと思っていました。
「人に与えたい」と思う人が少数派だと思い込んでいた私は驚きましたが、実は世界中の大半の文化の中で「与えること」こそが最も大切な人生の指針と考えていることは、何も意外なことではないとアダム・グラント氏は言います。
なぜなら、絵本『おおきな木』を親が我が子へと読み聞かせて教えているから――これは日本で言うところの「人の気持ちを考えて行動しなさい」とか「困っている人がいれば手を差し伸べなさい」と言った仏教やキリスト教の教えにも通ずるところがあると感じています。
しかし、多くの人がギバーである価値観を持っているのに、仕事でもギバーとして振る舞えるかどうかと言えば、大半の人は等価交換のマッチャ―になります。
もしくはPART9に出てくるデリクのように、本来はギバーであったとしても、テイカーになり得ることもあるし、そこからまたギバーとして変わることもできるんです。
繰り返しますが、ギバーが良くてテイカーが悪いと言いたいわけではありません。
ギバーになることを目指すのは、他者志向のギバーになればマッチャ―やテイカーよりもはるかに大きく成功することができるから。
そして、自分も他人もハッピーにすることができる。
「与えること」は伝染していくんです。
ギバーが周囲にギブすることで、「与えること」がどんどん伝染していく。
映画『ペイ・フォワード』がまさにそうですよね。
万が一、グループの中にテイカーがいたとしても、あるいはマッチャ―ばかりのグループだったとしても、ギバーの親切が伝染していくと、テイカーもマッチャ―もギバーとして振る舞うようになっていきます。
その理由は、マッチャ―は自分に与えてもらったのと同じ分だけ返さないといけない!と考えるので、ギバーから与えてもらったものを返そうとするから。
そしてテイカーは、はじめは「こいつらから奪ってやろう!」と思って近づいてくるかもしれないけれど、グループ全体がギバーとして振る舞っていれば、テイカーも受け取るより多く与えるようになっていく。
なぜかというと、マッチャ―であってもテイカーであっても、すべての人間関係を同じ1つのタイプで対処しているわけではないからです。
ある時、ビールという男性が「フリーサイクル」というサイトをつくりました。
このサイトでは品物はすべて無償で提供しなければいけず、売買と交換は不可というルールがあります。
つまり、売ったり買ったりできず、もらった人にお返しで何かをあげるということもできないのです。
最初はみんな「タダでもらいまくってやろう!」と考えて登録します。
しかし、フリーサイクルのすごいところは、タダで譲ってもらった人にお返しができないので、マッチャ―は他の人に無償で提供しなければならなくなるということ。
これがマッチャ―がギバーへとなる第一歩である。
けれど、テイカーは人の物をもらいまくって自分の物は無償提供しないんじゃない?って思いますよね。
実は受け取ることを優先する会員でさえ、フリーサイクルの中では自分が受け取った物の2.5倍も他の誰かに提供していたそうなんです。
テイカーへの対処法は、2つあります。
1つは、マッチャ―として接すること。
もう1つは、グループ全員にギバーとして振る舞ってもらうことで、ある人間関係ではテイカーである人もギバーとなり得る可能性が高くなるのです。
今、私のように「自分はもしかしたらテイカーなんじゃないか…」と心配になっている人がいたとしたら、もしかしたら自分の周りにギバーがいないのかもしれません。
ギバーが伝染するように、テイカーも伝染することがあるかもしれないとも思います。
けれど、逆にテイカーは永遠にテイカーなわけではないし、自己犠牲タイプのギバーがテイカーになり得ることだってあります。
「ほかの人たち」がどれぐらいもらってどれぐらい払っているか知らないから、「奪ってやろう」と思うのかもしれないし「相手が与えてくれないから自分も与えない」となるのかもしれません。
そもそも人は「与えること」が大切なことであると知っているのにそれをしようとしないのは、私のように「他人はギバーではない」と思い込んでいるからかもしれません。
【GIVE&TAKE】を読んで私の中のこの思い込みが外れ、「自らギブをしてギブの輪を広めたい」という気持ちが新たに芽生えたのが、この本を読んだ一番の大きな変化です。
印象に残った部分・感想:寄付で年収が上がる!?
本書の中で一番衝撃だった部分は
何と、寄付金が1ドル増えるごとに、収入が3.75ドル高くなったのである。(p286)
という一文です。
なんだって!!と思って、早速チャレンジしてみることにしてみました。
邪ですみません…。
これはもちろんただ単に寄付をしたからと言って収入が上がるという魔法のようなものではなく、ちゃんとからくりがあります。
収入が高い人は、もちろん寄付する額も大きくなります。
より多く与える人は、より多く稼ぐようになる。
大嶋信頼先生の【「与えあう」ことで人生は動きだす】にもありましたが、与えれば与えるほど自分も自分の周囲にいる人も豊かになっていく。
「私の幸せは、みんなの幸せ」
なぜこの仕組みが生まれるのかというと、他の人のためにお金を使うと幸福度がかなり上がるからなのです。
自分のためにお金を使ったほうが、幸福度が上がりそうな気がするじゃないですか。
でも、自分のためにお金を使っても、幸福度は変わらないんです。
実は、人に与えることで脳の報酬中枢神経が活性化します。
そして、これはお金だけではなく人のために自分の時間を使った時にも起こります。
けれど、単純に与えれば与えるほど良いんだな!じゃあ、与えまくるぞー!というものではありません。
ボランティア活動の「百時間ルール」というものを先ほど少し触れましたが、そこに関係があります。
年間100~800時間ボランティア活動をしている人は、年間100時間未満もしくは800時間以上ボランティア活動している人よりも、幸福度と人生への満足度が低かった。(p272)
年間100時間というのは、毎週2時間ほどです。
この時間に収めるのが、最も人生の幸福度を高めてくれるのです。
つまり、与えなさ過ぎてもいけないし、自分の時間をすり減らしてまで与えようとしても、そこに幸福を感じられないということです。
てっきり、与えれば与えるほど良いと思っていました。
けれど、よく考えてみると、たとえば自分の生活もままならないのに他人にご飯を奢ったりするのでは本末転倒です。
稼ぐどころかどんどんマイナスが増えていってしまいます。
(ウシジマくんの世界や!)
自分で言うのもなんですが、私はたぶん昔は自己犠牲タイプのギバーでした。
高校生の頃は募金が好きで、募金箱を見つけるたびにお小遣いから1,000円を突っ込んでいました。
それが、いつしか自分のことでいっぱいいっぱいになってしまって、「募金なんかしてるほど余裕がない!」となっていたんです。
お金の余裕は心の余裕とは言ったもので、そうすると自分のことしか見えていないから他人を助ける気持ちにもなれず、どんどん意地悪な人になっていきました。
私はこの本を読んで、まず定額寄付を始めました。
これが最も大きな変化だと思っています。
ちなみに、やみくもに与えてほしい人に与えればいいというものでもありません。
助ける相手は自分が選ぶことが大切なんです。
これが他者志向タイプのギバーの与え方です。
「あの人が助けてほしいと言ってきたから、助けてあげないといけない!」と流されるのではなく、「私はこの人を助けたい」と決めて、そのために自分のお金や時間などを与える。
もし今、「こんなにも人に与えているのに、ちっとも幸せじゃない!」と感じている人がいるなら、与え方を見直してみても良いかもしれません。
自分の体力や時間にも限界はあるので、助けられる人にも限りはあります。
できればみんなを助けたいのかもしれないけれど、すべて無償でやってしまったら自分が生きていけなくなってしまう。
でも今回、ささやかなながら定額寄付をすると決めたことで、私の心の中のゆとりが大きくなった感覚がありました。
そして、今まで誰にも迷惑をかけてはいけないと一人で生きようとしていた私でしたが、「小さなことを与える」だけでも人と人とのあたたかい繋がりを感じられています。
はじめは「今よりも稼ぎたい!」という欲にまみれた気持ちで寄付やボランティアを探していましたが、そんなテイカー的な思考も実際に誰かに「与えること」で、ギバーである人間の本性を思い出せるはずです。
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こんな人におすすめ
「なんでいまいち成功できないんだろう」
「事業が軌道に乗らない」
など仕事や収入面での悩みがある人には、新しい視点をもたらしてくれる本となると感じています。
とくに私のように「人に搾取されて終わり!は怖い」と思っている人にこそ、読んでほしいです。
また、どこでどうやって自分の才能を発揮すればいいのか分からない人。
そして、教育者や指導者のように人の上に立って導く仕事をしている人にもおすすめです。
人の才能を発掘するとは、どういうことか?
実は才能のあるなしではなく、「やる気」があるかないかだったりするんです。
もちろんそれだけではなく、才能の芽が出なかった時は見切る必要もあるのですが、ギバーならお互いの損失を最小限に抑えることも上手にできます。
この本は、私のそれまでの価値観をガラッと覆してくれました。
そして、スレて荒み切った私に、与えることの素晴らしさと人と繋がることの幸せを思い出させてくれたのです。
まとめ:読後の行動『5分間のお金をかけない親切』
その後、至るところで「与える人」が目にとまるようになりました。
暇な時にバーッと見知らぬ方々のスレッドを眺めていると、自主的に地域のゴミ拾い活動をしている人が目に留まりました。単純な私は「そうか!どこかの団体に所属しなくても、勝手に街のゴミを拾えばいいんだ!」と影響されて、翌日から15分ほど家の周りのゴミ拾いをすることにしました。
すると、たまたま玄関から出てきた顔見知りでない近所の方に「ありがとう!」とお礼を言われたりして、こんなところから交流が生まれたりするんだなあと感動したものです。
すると、その方への返信の中の1つに「それはうちの父の血液かもしれません!ありがとうございます!」というコメントがあったんです。この一連の流れを読んで「なんて素晴らしいんだ!」と感動した私は、早速献血に行く決意を固めました。
Threadsでは、いろんな親切の話が流れてきます。喫茶店で赤ちゃんがギャン泣きなのにお母さんが「無」になっていたので、お母さんに声かけて、お茶を飲み終わるまで赤ちゃんをあやしてたら、ものすごい感謝されたという話。
仕事に疲れて帰ってきた旦那の異変を察して、「もうその職場辞めよ!」と声を掛けた奥さんのお話。
小学生の息子さんが学校帰りに、毎日ゴミ拾いをして帰っているというお話。
親切にしている人の話を聞くと、自分ももっと他人に優しくありたいと思うし、知っている人にも知らない人にも何か力になれることがあればと考える癖できたのです。
ただ「ほんの少しの親切」だけで自分も相手もあったかい気持ちになれる。
大きなプレゼントは必要ないんですよね。
相手にいくつかの質問をして困っていることがないかを探り、自分が助けられることを見つけようとします。
リフキンはいつも「与えるチャンス」を探していて、「与えるチャンス」を生み出すために人脈ネットワークを広げていました。
私が「誰かを助けよう」と思った時に億劫に感じてしまうのは、助けるための労力や時間などを瞬時に計算して気が重くなってしまうからだったんです。
そして、「助けてもどうせ自分には何も利益がない」と思ってしまったり、他人にアドバイスや人脈を根こそぎ持っていかれたりすることも怖かった。
出し絞ってケチになればなるほど、心も懐も人脈も貧しくなっていきます。
けれど、与えれば与えるほど、自分も自分の身近な人もちょっとずつ幸せになっていく。
ただ人に奪われて自分が損失を被ることになったりして、人間関係で嫌な気持ちを引きずりたくないと思っていたんです。
そんな気持ちがあったから、この本を読みながら「与えること」について幾度となく葛藤しました。
誰のことも信じられず「奪われる前に!」とか「奪われるぐらいなら!」と敵対心バリバリで過ごしている自分のことを好きになれるか?と、何度も何度も自問自答したのです。
それは経験からも知っていた。
だから「与えること」に大きな抵抗があった。
だけど、ずっと自分には何かが足りない、何かを変えたらもっと自分を好きになれるんじゃないかと思っていたんです。
そして、「今までよりもちょっと間口を広げてみようかな」と、人生をほんの少しの力で大きく変化させる勇気をもらった素晴らしい一冊です。
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