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人に傷つけられるのが怖くて、他人を信頼できない人へのスクリプト

催眠スクリプト
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「人のことをなぜ信頼できないのだろう?」と考えた時、そうか、私は人に傷けられるのが怖いのかもしれないと思ったんです。

なぜなら、私が何かした時に、あの人が怒ったらどうしようとか、本当は自分は何も悪いことをしていないと知っているのに、なんだか怖い目に遭うような気がして、人を避けてしまうんです。

そんな時に、その人は目を閉じると、瞼の裏にレンガ造りの教会が見えました。

そして、その教会は秋空のうろこ雲の下、教会の周りに植わっている木々と同じ茶色い枯れ葉色をしていて、晴れた午後の昼下がりなのに誰もいないその敷地は、ピューピューと吹く肌寒くなってきたばかりの風で落ち葉が舞っているんです。

すると、そこに1本の緑の木があって、まわりの木はすべて枯れ葉色をしているのに、その1本だけが青々とそそり立っているので「なんの木だろう?」と注意深く見てみると、それは糸杉のようで、その糸杉も少し強く吹く風に吹かれて、その葉や枝をしならせています。

そして、その人は昔、近所のお姉ちゃんに「糸杉の中には幽霊がいるんだよ」と教えられたので、なんだか近寄りがたい気がしていたんですが、風が私の背中を押しているようで、私は糸杉の細くざりざりとした緑の葉を1つつまんでみました。

それから、葉っぱを少し引っ張ってみると、木全体が引っ張ったほうに倒れるようにざわざわと揺れるので、あんまり引っ張り過ぎたらいけないかしら、と思ってパッと手を離すと、その反動でまたざわわざわわと揺れるんです。

そして、私は周囲の木を見回してみるけれど、どの木の葉も茶色くカサカサして、少し触れただけで枝から落ちてしまいそうなので、茶色い葉っぱには触れず、教会の茶色いレンガの壁をなぞってみると、その壁も糸杉の葉や木々の枯れ葉と同じようなざらざらとした手触りだったんです。

なので、そのざらざらとした凹凸を掌で何度もなぞって確かめていると、突然教会のドアが開いて、そこから神父さんが顔を出したので、思わず目が合ってしまいました。

すると、その神父さんは私にあの表情を浮かべて、優しく手招きしてくださるので、私は安心して神父様の後について教会の中を踏み入れた瞬間、教会中に響き渡るパイプオルガンの音がそれまでぼんやりしていた私の脳を目覚めさせるのです。

そして、それは、閉められたドアの向こうからはまったく聞こえなかったのに、ドアを開けて一歩踏み入れた瞬間に何重にも和音を重ねたオルガンの音が教会の高い天井にまで響いているようで、だけど肝心のオルガンはどこだろう?ときょろきょろ探してみると、あんなに大きく荘厳な音なのに、ここから一番遠い祭壇の隅っこにちょこんと小さく収まっているだけだったので、あんなに遠くにあるのにこんなに近くから聞こえてるみたいなんだ!と思って、私はもっと近づいてその音を聞きたいと思い、教会の固くつるつるした床を足早に歩いていきます。

そうやって、オルガンに向かって一直線に歩いているんだけれど、パイプオルガンの音にかき消されて私の足音はところどころ聞こえるか聞こえないかなので、あのオルガンの横に立ったら、私の存在自体もオルガンの音と一体化してしまうんじゃないかと思ったりして、未だ演奏者の姿がはっきり見えないオルガンの向こうに揺れる人影を目指します。

やがて、ある程度パイプオルガンに近づいた時に、その鍵盤とペダルの多さに驚き、さらに近づくと、何重もの荘厳な音に混じって、演奏者が鍵盤を叩く音やペダルを踏む音が微かに聞こえてくるんです。

それから、近づけば近づくほどパイプオルガンのその仕組みが気になって、もっとじっくりと観察したくてさらに近寄ると、突然演奏が止まって、先ほどまで教会中の高い天井や壁に反響していた音がピタったとその動きを空中で止めて分解されていくような、そんな空気を肌で感じるのです。

すると、演奏者が振り返って私の顔を見て、「どうぞ」というような手振りでオルガンの椅子を案内してくれるんだけれど、私はなんだか恐縮してしまって、「いや、いや、いや」と首を横に振りました。

けれど、演奏者はまったく譲る気がないようで、「いやいや、どうぞ、どうぞ」と手招きするので、ついに私は根負けしてパイプオルガンの椅子に座ってみると、教会の入り口から見た時とはまるで違うその大きさに圧倒されて、ある一音を人差し指で押してみると、想像していたよりも大きな音が鳴ったので、驚いてさっと手を引っ込めました。

そして、それを見ていた演奏者が、「こうやって弾くんだよ」という見本を見せてくれるかのように、私が座っている隣に立って、まるで連弾をする時のように私の横で見事な和音を奏でてくれるのです。

それから、私はその後のことをあまりはっきりとは覚えていないんだけれど、いつの間にか教会の外に出ていて、昼間よりも強く冷たい風が私の頬やコートに吹き付けていることに気づいたんです。

そうして、だんだんと暗くなりつつある空の下で、教会の周りの木をぐるりと見回してみると、昼間よりも枯れ葉が散ってしまったようで、糸杉以外の木はほとんど丸裸になっていたんだけれど、糸杉だけは夜の冷たく強い風に吹かれながらも、その葉をざわわざわわと揺らしています。

そして、糸杉が元気に緑の葉を空へ伸ばしていることを確認すると、私もなんだか元気になったような気がして、湿った土の感触を足の裏に感じながら、「さあ、家へ帰ろう」と教会を離れていくことにしました。

そうやって、いくらか歩いた後でもう一度教会を振り向いて確認してみると、レンガ造りの壁は夜の色に染まっていてあの枯れ葉色の壁の色は見えなくなっていたのですが、その代わりに窓にぽうっと橙色のあたたかい光がどの窓にも灯っているのを見て、私が今、何も遮るものがない野原の真ん中の道で左右から聞こえてくる強い風に吹かれる背の高い枯草の音までも、なんだかあたたかいものにしてくれるような気がします。

そして、教会の窓の明かりを確認すると、また前を向いて歩こうとしたのですが、ふと教会の向こうに三日月が浮かんでいるのが見えて、「ああ、私はあの三日月に照らされた道を今、歩いているんだ」と気づくと、それまで暗くて見えにくいと思っていた野原の中の道が黄金色に照らされているようで、私の腕や頬も夜の闇の中にぼんやりと浮かんで輝く月色に染まっているように感じて、そっと月明りに照らされた自分の肌に触れてみます。

すると、冷たい風に吹かれていたからてっきり冷たく冷えてしまっていると思っていた腕や頬は、野原の中を歩いてきたからか月明りに照らされているからか分からないけれど、ほんのりいつもより熱を帯びているので、私は肩にかけていたふわふわの白いマフラーの感触を感じながら「幸せだなあ」とふいに思うと、強い風に吹かれる枯草の大きな音や、それ以外は何も聞こえない何もない野原も、すべてが私の一部のような気がしてきたんです。

それから、「一体、私は何に怯えていたんだろう」とそれまでのことを思い出そうとしても思い出せなくなってしまって、教会で聴いた大きなパイプオルガンの音も、幽霊がいると教えられた糸杉も、背の高い枯草が強い風に吹かれる波のような葉擦れの音も、きっと何も私に敵意など向けていなかったのだと、その時に私は知ったのかもしれません。

 

ひとつ、爽やかな空気が頭に流れていきます。
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます。
みっつ、大きく深呼吸をして頭がすっきりと目覚めます。

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