Netflixドラマ【ダウンタイム】観ました。
英題は『Plastic Beauty』だそうです。
てっきり整形依存とかそれ系の話だと思っていたのですが、バリバリ仕事の話でした。
以下、ネタバレを含む感想です。
命よりも大切なこと
私は現在、毎月1回「タブーをあえて題材にする哲学対話」を開催していますが、「整形」というテーマもまだまだタブー視されているのかなと感じています。
私は整形は結局しませんでしたが、学生時代に母親に「整形したい」と言ったら、強く否定されました。
うちは母方家系がくっきり二重の美形なのに、父方家系は一重なんですよね。
二重が優性遺伝のはずなのに、なぜ私は一重なのか!そして、それを母親にことあるごとに言われる!
(目つきが怖いとか)
だから、整形したいと言ったのに、それは許されない。なんでやねん!と当時は思っていました。
(今の私が二重なのは、アイプチをし続けていたらなぜか奥二重が定着したからです)
しかしながら、ドラマの第1話では、整形はすでに日常的なものであり、ほぼみんなやってるものという形で描かれていました。
ですが、やはりまだ整形顔なのかどうかSNSで言われたりしますし、どこか「いけないこと」の空気はあるように感じています。
第1話の田中さんのように、整形をしたことで自分らしく人生を歩める手段になるのなら、整形は人を救うものだと思います。
私も長年、自分の醜い顔が嫌で人と目を合わせて話せなかったし、ブスな自分が喋ることすら烏滸がましいと思っていたので、田中さんの気持ちがわかる気がします。
人は見た目ではないと言われたりもするけれど、見た目も大きな判断材料になることは間違いない。
美人が苦労していることも知っているけれど、醜いままの顔を外で晒して誰かの目に触れるのも申し訳ない。
「自分は醜い」と思いながら生きるのって、それこそ「存在の罪悪感」なのではないかとも思います。
一方で、かなぶんやゆり子さん。
自分の命が危険にさらされても、大切なことがある。
沼田先生は、患者の命を優先した。
凛先生は、患者の「命より大切なもの」を優先した。
この2人は板井さんの時に逆転していたとは思うんだけれど、仕事をする時ってそれぞれの正義がありますよね。
(ギフテッドの沼田先生は「言われた通り患者に寄り添った対応したのに何でやねん!」というダブルバインド状態にならなかったのか…と心配になりました)
全然違うかもしれませんが、個人的に占いの世界と美容整形の世界って似てるなあと思っています。
占いの世界も、タブーと言ったらタブーかもしれません。
世間ではダメだと言われていることも、占いの世界だとタブー視を外してお客様に寄り添えたりもする。
ただ、その線引きが難しい。
線引きを間違えると、凛先生と紗良ちゃんのような共依存状態に陥ってしまう。
だから、どこまでがOkでどこからかダメなのか、自分の中でしっかりとルールを決めてお客様に対応しないと自分まで苦しくなってしまう。
そして、ミスした時は隠蔽せずに正直に謝る覚悟を持つこと。
単に病気を治すだけなら、その線引きは初期の沼田先生のようにハッキリしているのだと思う。
「人の気持ちを優先するか、命を優先するか」だと、間違いなく人命が最優先なのだろう。
(医療従事者ではないので想像ですみません)
自分の命を粗末にすることは愚かなことで、命よりも大切なものなどないのだ。
生きていれば、取返しなんていくらでもできるのだから…。
だけど、もし自分の命が危険に晒されて、「それがなくなったら、私の生きている意味などない!」と思っているものを奪われたとしたら?
プロの占い師になってから、寄り添い方って難しいとずっと思っていました。
気持ちに寄り添ってあげたい。
しかし、ダメな時はダメだとはっきり止めないといけない。
その線引きが本当に難しい。
なんでも「いいよ、好きにしなよ」と言ってあげたいけど、きちんと止める時は止める覚悟がいる。
自分ではない人の人生を背負う覚悟を、いつも持っている。
だから、凛先生が紗良ちゃんに「聞けーーーー!!!!」って怒鳴った場面は、号泣した。
よく言った。
傷つけてはいけない、大切にしないといけない人こそ、嫌われてでも断らないといけない。
(でもあれって結局、凛先生が処置したの?)
依存と向き合う
占い界隈には「占いジプシー」と自ら仰る方々がおられます。
占い依存から抜けられなくて、占いに頼って大金を占い師に使ってしまう。
もう占いにお金を使いたくないのに、抜けられなくなってしまっている方々です。
『ダウンタイム』だと、ちょっと違いますが、板井さん。
身体醜形障害で整形依存の板井さん。
ブラックリストにも載っている。
でも、そういう人にこそきちんと向き合わないといけないんだとも思う。
本当に救わなければならないのは、「救いたい」と思わせられるいい子ではなく、「なんだこいつ」という態度を取ってくるような問題児だったりもする。
(もちろん、すべての人の助けになりたいと思っている)
占いジプシーだったり、依存型の人は「またそういうこと言ってる」と思われやすい。
だから、きちんと向き合って話を聞いてもらえなかったり、嫌がられたりする。
本人も最初から相手に嫌な対応をされることを想定して身構えているから、喧嘩腰だったりする。
なので、ドラマの中ではいつも「お客様を否定せずに寄り添って」と言っている遠山クリニックの皆さんにはガッカリしましたが、沼田先生に感動した。
占いでも難しいなと思うのが、占いジプシーの方は占いのことをよく知っている。
板井さんも、整形のことをめちゃくちゃ調べているだろうし、もしかしたら知識はクリニックの人と同等のものを持っているのかもしれない。
だからこそ、お互いに丁寧に話を聞く必要があるのだろう。
占いジプシーの方は、占い師に占ってほしいことを指示するのがとても上手い。
でも、占い師側からすると、表面だけ撫でて終わりという感じがすることもある。
「余計なことは言わず、それだけ占って」
私もできればそうしたい。こちらから口出しすることは、違う。
占いは1分何円の世界なので、悠長に占い師が長々とお客様の望まない話をするべきではないと思っている。
だから、そこの見極めが必要である。
初期の沼田先生のように、こちらの正しさを押しつけて相手を否定するのではなく、
板井さんと向き合っていた沼田先生のように、相手が本心では何を望み、どうなりたいのか?
それをお互いに知ることで、心の奥から満足することができる。
そうすれば、依存から抜け出せるのではないか?とそう信じている。
…が、現実はなかなか難しいんですよね。
美容整形の世界ならそれが可能かもしれないけれど、占いはその場で占ったことが現実になるかならないか分からないから…。
それでも、お客様の要望通りに対応することも大切だし、しかし本当にお客様のことを思うなら、プロである自分がそれ以上の何か手を差し伸べることができるのではないかとも考える。
「向き合う」
一見簡単なように見えるけれど、寄り添うことはアドバイスをすることでもないし、正しい道へと導くことでもない。
それこそ、セルフネグレクトの下にある痛みに気づいて、その患部に手をそっと添えることかもしれない。
まとめ
だらだらととりとめなく感想を書きましたが、仕事の姿勢について改めて考えさせられたドラマだったなあと感じています。
ところどころ、「そんなコロコロ方針変えたら、お客様離れるんちゃう!」とハラハラすることも多かったですが、まあドラマなので(笑)
あと、仲里依紗様のドアップが美し過ぎるのと、沼田先生がイケメン過ぎて、ずっと見てられます!
他にも、魅力的な俳優さんが満載で、眼福なドラマでした…。
第1話で、沼田先生は正しいことを言ってるしやってるんだけど、もっと言い方を変えたらかなぶんは死なずに済んだのではないか…と思うと、正しさだけではやはり人の心を追い詰めるだけなのかもしれないと思いました。
でも、ただ言う通りにして甘やかし続けると、お互いに倫理観のレールを外れてしまって、苦しくなる可能性もある…。
どんな形であれ、人の人生や選択を背負う仕事をしているのなら、まずは自分自身の「正しさ」を常に見直して、お客様の不利益にならないように、その人生を素晴らしいものにする手伝いができたらなあとそう思思っています。
今回は自分の占いの仕事と絡めての話でしたが、「正しさ」とはなんだろう?ととても考えさせられました。
そして、私にとって、命よりも大切なことはあるだろうか?
あるとしたら、それはどんなことだろうか?
そんなことも考えています。
イップスではないですが、自分も昔働きすぎて一時期占いができなくなっていた時があって。
あれも多分トラウマから占えなくなっていたんだけれど、失敗した時こそ誠意を持って向き合うこと。
そして、普段から仕事上では常に緊張感と信念を忘れないこと。
上手く占いのお客様と向き合えなくて、人の人生を背負うなんてとんでもないことだと苦しんでいた時期もあり、占い師を辞めたいと考えていた頃もありました。
けれど、改めて自分は苦しんでいる誰かを田中さんのように素晴らしい笑顔にする仕事をしたいと思ったし、板井さんのような方が安心して委ねられる場を作りたい、そう思ったんです。
なんだかんだ言って、私はきっと自分の仕事が大好きなんです。
世間から詐欺師と言われようが、職業差別をされようが、それで救われる人がいるのなら、自分の全力を尽くしたい。


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