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怒りを上手に処理できるようになるスクリプト。

催眠スクリプト
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木でできたまあるい風呂桶は、いつも父がお風呂に入る時に持って入って、そしてお風呂から出ると家の外の風に当てるために裏口の扉の裏に立て掛けられています。

だから、強い風が吹くたびに、風呂桶は勝手口の裏でカタカタカタと揺れる音を鳴らすのです。

そうやって、私は父親の行動と外で乾かされている風呂桶のことを考えると、不思議な感覚になるのです。

勝手口にはてるてる坊主がぶら下がっていて、こちらもやはり強い風が吹くたびに大きく揺れては、地面に落ちる影も右へ左へと移動していきます。

てるてる坊主は雨の日になると雨にさらされて、ぐしゃぐしゃに濡れてしまうので、サインペンで書いた顔がどんどん泣き顔のように崩れてきているのを見て、妹が笑っていたのを思い出します。

「てるてる坊主でも泣くことがあるんだなあ!」と妹は言っていて、私はその言葉の意味が分からなかったのだけれど、妹が言うには「てるてる坊主は雨を降らないようにするためにいつも笑っている」ということなのです。

だから、妹が作るてるてる坊主はいつも笑顔で、雨で顔がぐしゃぐしゃに濡れるたびに、「あ!また泣いちゃってるから、私が笑顔にしてあげよう!」とニコニコしながら新しいてるてる坊主を作るのです。

そんな私は、てるてる坊主にもそんなに興味はないから、ひたすら外の風呂桶がカタカタ鳴っている音に耳を傾けながら、明日の晩ごはんはなんだろうなあとコタツにぬくぬくと入りながら考えるのです。

コタツの上には一つのみかんが置いてあって、私はそれをテーブルの上で転がしながら、いろんな角度で観察してみます。

すると、外からカタカタと聞こえてくる風呂桶の音を聞いて、「たぶん今頃、外はとても寒いんだろうなあ」と想像するのです。

そうやって、外の寒さがどれぐらいなのか想像することで、今、どれぐらい自分が幸せな環境にいるのかを確認しているような気がして、ほっと安心してきます。

妹がてるてる坊主の最後の仕上げに、輪ゴムでキュッと胴体と顔を分けているのが見えます。

そんな妹を見ていると、なんだかだんだん眠くなってくるような気がして、まだ眠りたくない私は必死で窓の外の風の音や風呂桶の音を聞こうと集中するのです。

だけど、どれだけ音に集中して耳を傾けても、妹の笑い声を聞いているとどんどん眠気が増してきて、いつの間にか私はコタツでぐっすりと眠ってしまっていたのでした。

コタツの中で眠っていると、奇妙な夢を見ました。

目の前に大きな虹が橋のように掛かっていて、私は今まさにその虹を渡ろうとしているところです。

その虹の向こう側を見ると、一頭の大きな馬が立派なタテガミを揺らしながら、つぶらな瞳で私のことをじっと眺めていて、そんな私たちの間には幾度も幾度も、強い風が吹いては凪いで、また吹いてを繰り返していくのです。

強い風が吹くと、馬の瞳がタテガミで隠れるので、私は少し緊張がほぐれるのですが、風がやんでまた馬の真っ黒い瞳と目が合うと、なんだか心地よい緊張感が私たちの間に流れるのです。

馬はこちらに近づいてくる様子もなく、ただ風に揺られながら、私をじっと見つめています。

私は「この虹を渡ったら、私は今の私ではなくなるかもしれない」という予感を持ちながら、まだ一歩を踏み出せないでいると、いつの間にか太陽が南の空高くに昇っていて、私たちの周囲をさんさんとまばゆい白い光で照らすので、まるで私のまわりの世界からすべての音が消えてなくなったかのように、私の中も真っ白い光で満たされていくのです。

白い光の中、私はあたたかい感触を肌に感じながら、自分の全身の隅々まで光が行き届いていくのを感じて、目を閉じて、その感覚に没頭していくのです。

光は、私の視界を遮り、耳を塞ぎ、目の前の世界を真っ白に染めて消してしまったけれど、なぜか遠くから馬の鳴き声だけが聞こえるような気がしたのです。

白い光の向こう側から馬の声が聞こえてくると、やがて私のまわりに色が戻ってきて、赤やピンクや青や緑など、たくさんの色であふれたカラフルな世界は、まるで絵の具をひっくり返したようなにぎやかさに感じます。

ペンキで塗ったようなカラフルな色が、馬のタテガミや馬の顔もカラフルに染めていくので、「もしかしたら、私もカラフルになるのかな?」なんて思ったりもします。

カラフルになった自分を想像してみると、なんだか無条件に楽しい気分になってきたので、ひとつ歌でも歌ってみようかと思い立って、鼻歌を歌い始めてみました。

鼻歌は、白とカラフルが入り混じる空間にこだまして、今度は白とカラフルを混ぜたような不思議な色が、空間に満たされていくので、私の歌声はどんどん大きくなっていくのです。

空間すべてに何とも言えない不思議な色が充満した時に、四角い空間の床や壁や天井はすべて7色の虹の模様に書き換えられていって、私はその7色の虹を目で追うことで、まるで歌詞を追っているような気分になってくるのです。

その虹色の壁の歌詞は無限に続き、何度も変調を繰り返すけれど、いくら目で追っても私はその虹色に飽きることはないのです。

むしろ、虹色を目で追えば追うほど新しい感情が私の中に芽吹き、その感情が虹色の歌詞となって壁一面に広がって、新しい歌を作っていくのです。

それはきっと、天国にいるように心地良い音楽で、ずっとずっと永遠に聞いていたいような、不思議な音楽が、私のまわりに満たされいくのを感じていると、いつまでも覚めない夢の中にいるように、希望が私の中に満たされていくのです。

ひとーつ!爽やかな空気が頭に流れてきます。
ふたーつ!身体がだんたんと軽くなっていきます。
みっつ!大きく深呼吸をして、頭がスッキリと目覚めます。

『怒りを上手に処理できるようになるスクリプト』でした。

 

 

 

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