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不快な人に勝つためのスクリプト

催眠スクリプト
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「無意識にとったら、勝ち負けの話じゃないでしょう」と、もしかしたら誰かが言うかもしれません。

けれど、その人にとったら、あの人に打ち勝つことが、己に打ち勝つことと同じなのだと、そう私に伝えてくださったのです。

 

その人は、洞窟の入り口の前に立っていたのです。

そして、洞窟の奥の方を見ると、まるでブラックホールのようになんでも吸い込んでしまいそうなぐらい真っ黒で、何やら不気味な鳥の声が聞こえてくるのです。

なので、その人はこの洞窟に入る決心をだいぶ前からしてきたのだけれど、それでもいざ目の前にしてみるとやっぱり尻込みしてしまって、そんな自分を奮い立たせようと拳をぎゅっと握ります。

そうやって、いつまでも洞窟の前に佇んでいても状況は何も変わらないと分かっているのに、いや、時間だけがどんどん過ぎていって、青い空からどんどん紫色の空に染まっていって、もう間もなくあたりが洞窟と同じぐらい真っ暗に染まってしまいそうです。

だから、その人は「早く決心しないと!」とあの感情が全身に湧き上がってくるのだけれど、暗くなっていく森の中のざわざわした木々の音や、どこから聞こえてくるのか分からない鳥の高いような低いような鳴き声を聞くと、どうしても一歩が出ないのです。

そうこうしている内に、どっぷりと日が沈んでしまって、あたりが真っ暗になった時に、その人の目にあるものが飛び込んできて、それまであった夜の闇と同じくらい暗く黒いあの胸の重みがさらさらと消えていったのです。

そしてそれは、真っ暗にならないと見えなかったものなのですが、洞窟の奥に目を凝らしてみると、何やらキラキラキラキラしたものが見えるのです。

それから、もっともっと暗くなっていって、その日は月も昇らない星も出ない真っ暗な夜だったので、洞窟の奥のそれはどんどん輝きを増していった時、その人は森のざわめきも鳥の声にも怯えなくなったのです。

そうすると、ますます洞窟の奥のキラキラがはっきりくっきりと見えてくるので、だんだんその人の目もそのキラキラと同じように輝いていって、その人の胸の中も、体全体も、かすかに発光しているようにあたたかく軽くなっていきます。

そうやって、発光していく自分の体を眺めていると、どんどん放つ光の強さが増していって、なんだか光が強くなるたびに、その人の内側が重くどっしりと中身が詰まっていくような、まっすぐ太い幹になっていくような感覚があるのです。

すると、先ほどまで不気味に思っていた鳥の声が、シャラシャラと鈴を鳴らしたような美しい旋律に変わり、木々の重く冷たいざわめきはいつの間にか軽快な太鼓の音に聞こえるのです。

そして、その人はますます明るくあたたかくなっていく手足をまじまじと眺めて、自分の両腕で自分の体を抱きしめてみると、とてもあたたかい。

さらに強く強く腕に力を込めてみると、自分の内側が電子回路のようにさらに発光して全身を駆け巡り、自分の内側から何か鐘のようなピアノのような美しいメロディーが聞こえてくるのです。

そうして、自分の内側から奏でる音や光を自分の両腕で抱きしめてみると、それまでの自分とは全く違った何者かに変身して、姿かたちまでそっくり変わってしまったようなスーパーマンになった気分になりました。

けれど、「スーパーマンになんかなってもいいのかな?」と少しあの感情が湧いてきたので、それまで固く閉じていた目をほんの少し開いて周囲を確認しようとすると、同時に身体の光も若干弱くなってしまうのです。

だから、その人は「自分の両腕の感覚だけに集中するんだ!」と慌てて再び目を閉じて、自分の内側から奏でられる音楽に耳を澄ませてみました。

すると、やはり自分の内側に耳を傾けていた方が自分の光は強くなって、体も熱を帯びてあたたかく、周囲の音が聞こえなくなる代わりに自分の中の何かが強くまっすぐ、ずっしりと詰まっていく感覚があるのです。

そうやって、「やっぱりそうなんだ!」と自分のあたたかさが強くなっていくのを確認すると、果たしてほんの少し目を開けて自分の体がどうなっているのかを確認したくなってくるのですが、その思いでうずうずする気持ちが大きくなるほど、自分の内側から聞こえる美しい音楽が小さくなっていくので、また慌てて自分の内側に集中します。

そんなことを繰り返しながら、その人は自分の光が強くなったり弱くなったりすることが、なんだか子供の頃に見た蛍の光のようだと思ったのでまたちょっとうれしくなってきて、「この光はずっと強いままでなくてもいいんだ」とほんの少し安心しました。

そして、自分の体を抱きしめていた両腕をゆるめてみると、体のあたたかさが少し冷めてしまったように感じたのですが、さっきまでよりも弱くなった体の光も、自分の内側から流れるメロディーが遠のいていく感覚も、だんだん怖くなくなっていったのです。

それから、その人は「自分の内側から音楽が聞こえなくなっても、自分の体の光が弱くなっても、体があたたかさを失っても、僕は僕なんだ」と気づくと、もう目を開けても大丈夫な気がしたのです。

だから、その人はゆっくりと目を開けてみると、そこにはブラックホールのような真っ暗な洞窟も、洞窟の奥にキラキラ光るものも見えなくなっていて、代わりに「あの人」の家の車庫があったのです。

けれど、その人は「なぜ、今目の前に“あの人”の家の車庫があるのだろう?」と腑に落ちなかったので、その車庫のまわりをぐるぐる回って、あの人の立派な高級車も遠目に見ていると、どこからか学校の17時のチャイムが聞こえてきました。

なので、その人は「あ!もう帰る時間だ!」と思って、なぜ今自分があの人の家の車庫にいるのか分からなかったけれど、チャイムが鳴ったから仕方ないと思って潔く切り上げることにしたのです。

そして、その人がふと思ったのは、「僕は“あの人”のように立派で高級な家に住みたいわけじゃない。僕は…」と思いながら、あの人の家の車庫や車に背を向けて、沈んでいく夕陽に向かって歩き出しました。

そんな時に、その人は自分の家が夕陽の沈む方角にあることを知って、なんだかまたちょっぴりうれしくなって、頭上から聞こえてくるカラスの声やどこかから漂ってくる晩ごはんのにおいすべてが愛おしく感じるのです。

すると、気づかない内に足取りは軽くスキップをしていたので、そんな自分がちょっとおかしくなって少し笑うと、どんどん笑みがこぼれて全身がむずむずと喜びにあふれていくのです。

そうやって一人で歩く道端の小さな野花も、だんだんオレンジ色に暗くなっていく夕焼けも、電信柱の真っ黒いカラスもすべてが幸せに包まれているように見えてくるから不思議です。

それから、楽しくなったこの感情を鼻歌にして歌いたくなりました。

なぜなら、鼻歌を歌うともっと幸せな気持ちが広がっていくような気がしたから。

 

ひとつ、爽やかな空気が頭に流れてきます。
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます。
みっつ、大きく深呼吸をして頭がすっきりと目覚めます。

 

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意識では「またこのモチーフが出てきた!」と思っているのですが、それはあくまでも意識。
無意識は、私にどんな世界を見せようとしてくれているのだろうか。

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