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『人への恐怖心をなくし、胆力をつけるスクリプト』

催眠スクリプト
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あるお寺の枯山水の庭の石の上に、ひらりと一枚のあおい紅葉が落ちてくるのです。

その紅葉はまだ若葉なのでとても小さく、私のてのひらよりも小さいので、すぐ風に吹かれて飛んでいきそうだなあと思ってみていたけれど、風が吹いても、そばに鳥がおりたっても、微動だにせず石の上に座ったままなのです。

私の肌にはひんやりと冷たい空気が当たって、今がまだ夏になる前の夕暮れなんだなあということに気づきます。

塀の向こうの空が青からオレンジ色に染まり始め、だんだんとあたりが薄暗くなっていくのを感じます。

あおい紅葉は、それでも風が吹いても、私が紅葉のそばの空気を揺らしても、その石の上にひらりと落ちたまま、動かないのです。

私は石のそばにある物干し竿に洗濯物を干していたので、それを取り込む時に紅葉が飛んでしまわないかなあと思ってハラハラしながら見ていたんだけど、紅葉はそんなこと全く気にしていない様子で、ただ空がどんどんむらさき色に染まっていく様子を眺めているようなのです。

私は「夜になる前に布団を家の中に入れないと」と思って、物干し竿から布団をおろし、立派な枯山水を踏まないようにと慎重に石畳を渡っていきます。

時折吹く風が冷たくて、「まだ春なんだなあ」と気づくけれど、遠くでカラスの鳴き声が聞こえた時に、「あ、もうこんな時間だ」と我に返るのです。

もっと早く布団を家の中に入れれば良かったんだけど、なんだかぼんやりと日中ひなたぼっこをしていたら、知らぬ間に陽が傾き始めて、そしてうちの美しい枯山水にうっとりしている内に、空気がどんどん冷えてきたのです。

まもなく夜になろうとする頃に、もう一度石の上に落ちたあおい紅葉を見てみると、やはり落ちたままの姿でそこにいて、私が帰って押し花にしたりしおりにしたりしてもいいかなあと考えるのだけれど、私がその紅葉に触れなかったら明日もそのままそこに同じように佇んでいるのかが気になって、あえて触れないことにしたのです。

初夏の夜はまだ若干ひんやり冷たくて、昼間鳴いていたカラスの声が聞こえなくなると、今度は鈴虫のようなコオロギのようなカエルのような声が聞こえてきて、何の虫の鳴き声か分からないけれど、この枯山水にピッタリな虫の鳴き声なんだなあと考えるのです。

私は、物心ついた頃からこの枯山水とともに過ごしてきて、私の幼い頃からこの立派な枯山水がうちの庭にあって、いつも誰が手入れしているのか分からないけれど、美しい石の模様と草木の配置を見るたびに、私の胸が静まり返ることを感じるのです。

私は家の中ではいつも浴衣を着て過ごしているので、よく男の子に間違えられますが、この短い髪も、年齢のわりに低い身長も、自分ではとてもお気に入りなのです。

縁側をタタタ…と走っていくと、白い足袋で走っているから廊下を滑りそうになって、そのたびに誰かに見られていて怒られやしないかとドキドキヒヤヒヤするけれど、あたりを見回しても風が吹くだけで、この大きなお屋敷には私ひとりぼっちなんじゃないのかと思ってしまうのです。

私はとても良い子に育ってきたので、文句も言わないし反論もしないし、人の話をよく聞く人間だと自分では思っていて、だけど誰も私が「あなたってこういう人だよね」って言ってくれないから、いつも私は一人で鏡の中の自分に話かけているのです。

そうすると、鏡の中の自分は私と全く同じ口の動きで、同じ仕草で髪を触り、同じ間隔でまばたきをするから、私は一人で喋っていてもつまらなくなって、いつしか鏡を部屋の中に置いたまま、外の空を飛ぶ鳥や、庭に吹く風に話しかけるようになったのです。

私が不安になった時は、私以外の存在がこうやって私のすぐそばにいることを知っていて、人の言葉で話せなかったとしても、肌で感じる風の冷たさやあたたかさ、虫の声や鳥の鳴き声の長さで、なんとなく話せているような気持ちになるのです。

そこに音が響けば、私の何かしらの行動に反応してくれていると捉えるし、もしそこに音がなければ、今の会話の答はノーなのかな?とそんなことを考えながら、空を飛ぶ鳶の群れを眺めます。

鳶はクルクルと空を回って飛んで、やがて私の視界から消えていなくなっていくんだけれど、私はその姿を見送るたびに、私もこの枯山水の大きなお屋敷から外に出たら、遠くまで旅をして行けるんだろうか…と少しだけ考えて、だけどそんな気持ちも風が吹けば風にさらわれていってしまうのです。

私は忘れ去った思考までも思い出そうとする努力はしないので、風に吹かれたまま消えていった私の考えや思いは、きっとどこかでまた芽吹いて、そして大きな種となって私の元へと帰ってくるのかもしれない、と少しワクワクした気持ちになります。

私が植えた種は、この枯山水の中だとザクロの木と南天の木です。

どちらも赤い実が成って、私はいつも「美味しそうだなあ」と眺めているのですが、眺めている時が一番心が躍るので、その成っている姿を絵におさめたいと考えたりして、庭の風に吹かれる様子を、縁側を通るたびにそんなことを思って眺めているのです。

私が縁側を通る時は一瞬しかザクロの木も南天の木も見えないんだけど、あの、紅葉が落ちた石は縁側からより近いところにあって、その縁側を通るたびに、私の起こす風で紅葉が石の上から飛んでいかないだろうか…とそんなことを気にしながら、美しい風景が自分のこんな身近にあることを誇りに思って、今日も縁側を歩くのです。

ひとーつ!爽やかな風が頭に流れてきます。
ふたーつ!体がだんだんと軽くなってきます。
みっつ!大きく深呼吸をして、頭がスッキリと目覚めます。

『人への恐怖心をなくし、胆力をつけるスクリプト』でした。

タイトル:「石の上に落ちるあおい紅葉」
解釈:明日やろうと思ってたことを後回しにせず、堂々と“やらない”。
ゴルゴ13のようなイメージ。

さて、全く何を書いているのか分からないスクリプトが出来上がりました。
如何でしたでしょうか?

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