「心は曇り模様」というと、なんとなく心が晴れなくて落ち込んでいる様子を表しているのかもしれません。
また、反対に「心の中が晴天だ」と思うと、心が晴れ晴れとしていて清々しい気持ちを表しているように感じます。
このように物事には色や音など主観的に「これは私にとって良いイメージのもの、悪いイメージのもの」と決まっているのかもしれません。
だけど催眠を使うとそれすらも「分からない」になります。
たとえばスクリプトを書く時に「なんだか暗いイメージが出てきたなあ」と主観では考えて、「こんなくらいことをイメージに入れたら暗い暗示が入ってしまうのではないか」と心配になってきます。
だけど、人それぞれ受け取り方は違うわけだし、そもそも客観的情報をつぶさに集めていくうちに、ただ単に暗いイメージのことを言っているわけではないと気づくのです。
大嶋先生の『お金持ちになる人の心理学』の本に、水槽の中にいる金魚の行動を観察してレポートをまとめる先生の体験談が書かれています。
私もきっと大嶋先生と同じように一番最初のレポートを提出していたと思います。
「客観的情報って、そういうことなのか！」とはっきりと具体的に気づいた瞬間でした。
悲しそう・うれしそう・怖がっているなどのイメージは主観的であり、客観的情報というと「口角が何ｍｍ上に上がった」とか「目線が左右に何回揺れた」とか「右肩が上がって下がった後に左肩が何㎝下がった」とかそういうお話を作っていくんですよね。
そうすると今まで見なかったものがその客観的情報から見えてきて、立体的に自分の立ち位置や状況を把握できるのかもしれません。
たとえば「あの人に挨拶を無視された！」と思った時に、客観的情報を集めてみます。
まず、私に背を向けているあの人に挨拶をしたら、あの人は約45度後ろに顔を向けて１秒ほど私の顔を眺めた後、それまで取り組んでいた自分の作業に再び取り組み始めた。
(この時の作業内容も細かく観察すると良いでしょう)
床にしゃがみこんで、右手には機械を持ち、左手には商品を持って検品を始めます。
検品はコンテナの右端向こう側かた左端に行き、コンテナの左端まで辿り着いたらまた右端に戻り、一列ずつ検品をしてだんだん手前にやってきます。
…というような感じで客観的情報を３つか５つか集めてグルグル頭の中で回します。
本来、客観的情報を多ければ多いほど無意識が起動しやすいです。
この客観的情報を集めていると相手の仕草を頭の中でイメージすることになり、そうすると相手がどのような理由でそんな行動を取ったのかが理解できるようになってきます。
これは『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ！』の一番最初の「カウンセラーのトレーニング」に書かれていた方法を思い出します。
そうやって相手の行動をひとつひとつつぶさに観察して頭の中で客観的情報をグルグルと回してみると、「あ、私を無視していたのは腰が痛くて憂鬱で、誰かと喋る気分じゃないからか！」ということが分かります。
そうして「私が原因で無視されたわけじゃなかったのか～」と相手の痛みに共感することができます。
これを日常のあらゆる場面に応用してみると面白いです。
「お隣さんはなぜ定期的に真夜中に大きな音を鳴らすんだろう！」とイライラした時に、お隣さんの鳴らす音や時間に注目してみます。
まず、お隣さんはだいたい決まって毎週日曜日の深夜２時に、大音量でアラームを掛けます。
どれぐらいの大音量かというと、私の部屋にもはっきりと聞こえるぐらいの大きな音で、そのアラームが鳴ると私も一緒に目覚めてしまう程の大きさです。
そして、そのアラームが３回ぐらいリリリリ…と鳴った後、バタバタという足音が聞こえてきて、バタンとドアが閉まる音が聞こえてきます。
…というように客観的情報を集めていくと、まず少し自分の中のイライラが治まってきます。
そして客観的情報を５つ集めて頭の中でグルグル回すと、「あ！お隣さんが真夜中に大きな音を出してバタバタしているのは、職業が〇〇だからか！」ということに思い当たります。
そして休みがなく忙しいお隣さんの辛さに共感しつつ、私は再度あたたかい布団にくるまりゆっくり眠りながら「お隣さん、行ってらっしゃい。今日もがんばってください」と励ましの言葉を呟けたりもします。
さて、これはナラティブですが、こうやって客観的情報を集めていくのは少し面倒くさいのかもしれません。
だけど、たくさんの客観的情報を集めていく内にどんどん自分の中の主観がそれまでの常識がはがれていって、自分の中の世界が広がっていくような感覚を感じられるかもしれません。
そうやって自分の中の世界の広がりを何度も何度も繰り返し感じていくと、それまですぐにイライラして余裕がなかった自分の懐が大きくなり、寛大で、何事にも動じない本来の姿に戻っていけるのかもしれないです。
本日のメタファー：曇り空とカタツムリ
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