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忘れたい嫌な過去や思い出したくない記憶を整理して、今の自分に活かすスクリプト

催眠スクリプト
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その人は、ある瞬間に嫌な記憶がよみがえってきて、「あー!」と顔をうずめたくなります。

それは、たとえば本を読んでいてある単語が目に入った時だったり、誰かの何かの言葉に引っ掛かって記憶が呼び出されるような時なんです。

だから、私はそんなあの人に、「鈴蘭畑に行ってみてはどうだろう?」と提案してみたんです。

そして、鈴蘭畑というのは、実際に私もどこにあるのか分からないけれど、夜に咲く満開の真っ白な鈴蘭たちが満天の星空の下で頭(こうべ)を垂れて、一斉に同じ方向へと風に吹かれる様子は、あなたの心を何か揺さぶるのかもしれません。

そうやって、あなたはあの鈴蘭たちのようにわずかに頭を垂れて、そしてあの風の音を聞いた時、それは自分の胸の中のざわめきの音と一緒だと気づくことができるでしょう。

すると、あなたはそのざわざわざわ…という草葉の音を聞いていると、どこかこの世ではないような感覚になって、腕や足や頬に当たる空気の感触を肌で確かめたくなります。

それから、そっと目を開けてもう一度鈴蘭畑を見てみると、青白い星の明かりに照らされた真っ白い花たちは、まるで白く発光しているように見えて、とても幻想的です。

なぜなら、風に吹かれながらほんのわずかに右へ左へと揺れる小さな白い花たちは、夜に飛び回る蛍の光のようで、私の鼓動を高鳴らせるのです。

そして、あなたが満開の鈴蘭畑の真ん中に立ってその風を感じていると、あたかも自分までもが真っ白い鈴蘭の小さな花になったような気がして、右から吹く風や左から吹く風に身を任せながら、わずかに身体を傾けるのです。

そうすることで、私にも葉や根が生えてきて、この大地に留まるように、足の裏からどんどん根が伸びてきて、土の中へとしっかり密着していきます。

そうすれば、少しの風が吹いても大きく倒れないので、しっかりと根を張る方がらくちんに立てるかもしれないけれど、時折頭上を飛ぶ聞いたこともない声の鳥の黒い影にちょっとビックリした時に、動けないのは少し不便だなあなんて思っていたんです。

でも、頭上を飛ぶ黒い得体の知れなかった鳥の影は、私に何かしてくるわけではないことが分かって、だから私はまた安心して、どんどん地中深くその根を張り巡らせていって、土の中の水分をぐんぐんと体内に吸い上げていくのです。

すると、なんだかお腹のあたりが心地良くひんやりとして、それは真夏にアイスクリームを食べるような、あるいは熱に浮かされている時の氷枕のような感覚で、今、自分の体はどんな状態なのかを確認したくなったので、まだ自由に動く両手を動かし、裏に向けたり表に向けたりして「何か変わっていないかな?」と観察してみます。

そうやって、足はしっかりと根で固定されているので、肩から指先だけを目の前でくるくる回して眺めていると、またあの黒い大きな鳥が頭上を飛んでいくのが見えて、その姿が月明りに照らされた時に、あの鳥が大きく羽を動かしながら飛ぶ羽音が耳に届いてきたんです。

そして、そのバサッ、バサッという大きな音は、頭上から黒い大きな羽根を降らせて、私はその落ちてきた羽根を1本ほしいと思ったのですが、一歩踏み出そうとした時に足が引っ掛かって、地中深く潜り込んでいる足の根に引っ張られる感覚に引き戻されたんです。

なので、動けない足の感覚を確認してから頭上を見上げた時、あの黒い大きな鳥の影は随分小さくなってしまっていました。

さらに、時たま「水が飲みたいなあ」なんて今まで忘れていたことをふと思い出したように気になってきた時に、あの銀色の蛇口を捻って出てくる水の音を想像してみるんです。

すると、蛇口から勢い良く上から下へと出てくる水を、私は人目をはばからずガブガブと、その蛇口に下から口をつけるように、自分がほしいだけ飲んで喉の渇きを癒せたら、この何か分からない風の音のようなざわざわという胸の音が、小川の流れるさらさらという音に変わるんじゃないかなと思ったりして、水道から出てくる水の冷たさや、飛沫が跳ねて頬や鼻の頭を濡らすあの感覚を思い出してみます。

それから、学校の蛇口からはぬるい水しか出なかったなあということを思い出したり、冷たくてキンキンした心地良い水は、山奥の小さな川の中に手を入れた時に感じたものかもしれないと思ったりして、私は頭の中の銀色の蛇口をひねって止めたんです。

そして、蛇口は止めても名残惜しそうにまだ、ポタ…ポタ…と水が滴り落ちてくるので、私はもっと強く蛇口を閉めないと!と思って、さらに力を込めてギューッと水道を捻ります。

そうやって、ぽたぽたと落ちてくる雫が止まったら、「あれ?私は今、鈴蘭畑にいるのに、なぜ水が飲みたくなったんだろう?」と気づいて、逆に水を飲まなくても大丈夫なのは、地下深くまで張り巡らされている足の裏の根っこが、十分に水分を私の身体へと届けてくれているからだと、その根の張りを足の裏の向こうに感じるのです。

やがて、私のまわりの真っ白い小さな鈴蘭たちは、風が吹くといつも同じ方向へと身を傾けるので、いつしか私も鈴蘭たちの姿をはっきりと確認しなくても、自然と彼らと同じ方向へと揺れることができるようになったんです。

なぜならば、私は鈴蘭を見なくても、肌で風が吹いてくる方向を知ることができるし、風に吹かれる鈴蘭の葉音を聞いていると、なんだか頭がぼんやりしてきて、いつの間にかみんなと同じ方向へと傾いているのです。

それで、私はぼんやりと風に身を任せて傾いて揺れて、そして風がやんだことを腕や足や額の肌の感覚で知った時に、ピタッと、根を張った足の重力でまたまっすぐに立つことができるのです。

 

ひとつ、爽やかな空気が頭に流れていきます。
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます。
みっつ、大きく深呼吸をして頭がすっきりと目覚めます。

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